2018.12.23 : 議員の役割と議員報酬の考え方、総合防災訓練について

○12番(内山さとこ君)  一般質問も8番目となりまして、日もとっぷり暮れましたが、皆さんお疲れと思いますけれども、いましばらく耳を傾けていただければと思います。きょうは、議員の役割と議員報酬の考え方、総合防災訓練のあり方等について一般質問いたします。

 まず、最初の大きなテーマ、議員の役割と議員報酬の考え方について、お尋ねします。そもそも議員とは何者か、この大きな問題について、私たちはどれほど真剣に向き合ってきたでしょうか。自戒の意味も込めまして、今回、質問させていただきます。

 まず、特別職報酬等審議会に関連して伺います。去る11月16日、特別職報酬等審議会において、議員活動の状況、議員報酬の額について、各会派議員に対するヒアリングが行われました。同審議会条例の第1条設置目的には、市長の諮問に応じ、市議会議員の議員報酬並びに市長及び副市長の給料の額等について審議するためとありますが、この「等」とは何を指すか伺います。同審議会は、私の記憶では邑上前市長が公約に掲げた退職金の削減を実行しようとした際、一部の議員から批判の声が上がり、第三者機関である報酬等審議会に諮問するとしてから、現在のような2年に一度の定例開催となったものと認識しています。同条例第2条には、市長は、議員報酬等の額に関する条例を議会に提出しようとするときは、あらかじめ、当該議員報酬等の額について審議会の意見を聞くものとする。2、市長は、前項に定めるもののほか、特に必要と認める事項について、審議会の意見を聞くことができるとあります。

今回は松下市長となって初の設置ですが、諮問の内容、理由について伺います。


この報酬審について定めた条例は、昭和40年、1965年3月23日に公布されています。これにさかのぼること1年前の1964年3月26日の衆議院地方行政委員会において、当時の自治省が、自治体の3役、議員の給与、報酬改定は、住民代表による第三者機関で審議した後、行うとする地方自治法改正の検討を表明し、特別職の給与や議員報酬の増減改定を抑制しようと考えていました。これに対して都道府県議会議長会は緊急総会を開き、地方自治を破壊する法規制に強く反対する決議を決定しました。そして自治省との会談の結果、自治体が自主的に条例を設けて行うことを確約し、法改正は見送られたという歴史的な経緯があります。

 さて、その議員報酬の基準は何によるのかというと、1962年の全国都道府県議会議長会事務局長会議における時の自治省行政局長の講演で、「議員報酬はよるべき基準が見つかりにくいが、常識的に考え、専門職員としての性格を有していないので、部長クラスを上回るのはおかしい。当局としては、当該自治体の部長の中間クラスもしくはそれ以上が適当と考え検討している

と述べています。ちなみに、同年11月調査時点での議員報酬は執行部の部長クラスの給与並みだったということですから、現状を追認した発言と思われます。

さらに1964年12月12日の自治省通達で、各都道府県、6大市長に対し示された内容では、常勤の特別職の職員給与改定は一般職の給与改定と連動させる。その一方で、地方議会の議員報酬改定は、一般職員の給与のように、生計費の増大、民間賃金の上昇に相応してなされるべき性質のものではないと考えられ、中略しまして、その額が著しく低額である場合を除き、極力自粛されることが望ましいというものでした。これ以降、現在のように、議員報酬は生活給ではないという性格が定着したものと考えられます。

1964年、初の東京オリンピックが開催された年、高度経済成長下における民間の給与改定と特別職給与、議員報酬との均衡をめぐるさまざまな動きがあったことが想像できます。

 その後、1969年2月には、全国市議会議長会が「市議会議員の報酬基準額について

を発表し、議員報酬を市長のおおむね2分の1に該当する課長級を最低基準とすることが適当であるとしました。そして、時は今、平成が幕をおろそうという時期に差しかかっています。

そこで、平成における市長、副市長給与と議員報酬の変遷についてお尋ねいたします。

 この30年余り、日本はバブル経済とその崩壊、国鉄分割・民営化や郵政民営化など、社会保障や公共サービスの市場化が進みました。世界では規制緩和とグローバリゼーションの嵐が吹き荒れ、リーマン・ショック、世界同時不況を引き起こしました。平らかに成るという願いとは裏腹に、不安定で予測しがたい経済状況が続いた平成の30年間、市長、副市長または助役給与と議員報酬の額、期末手当はどのような変遷をたどったのか伺います。

 次に、自治と議員、議会のあり方について伺います。

 議員活動の実態については個人差が大きく、活動の時間や質はもとより、報酬額に年齢や経験による差はありません。先日公表された自治基本条例(仮称)骨子案において、第2章、市民・議員・市長の役割の中で、議会の責務として、自治の発展、市政への市民意思の反映に努め、市長等を監視し、政策立案することなどが挙げられています。議員の役割としては、地域課題や市民意見の把握に努め、多様な意見を代表しつつ、市民全体の利益を追求するものとあります。ただし、いずれも検討すべき事項として、議会で検討中である議会基本条例との整合を図った上で規定する必要があるとしています。

 公益財団法人地方自治総合研究所研究員の堀内匠氏の「自治体議員報酬の史的見解」という論考におきまして、堀内氏は「残念ながら自治体が議員のあり方について主体的に思考することをいかに避けてきたか」と、初めに問題提起し、結びにも「自治体として議員を、今、何者として捉えるか、住民を含めて議論することが必須」というふうに述べられています。本市の自治基本条例は議会も包含した総合条例を目指す以上、議会、議員のあり方について、さらなる議論と検討が求められます。

政策立案や調査研究などの専門性と、多様な市民の意見を代理する代表制とはどうあるべきか、合議制の議会において多様性の尊重と合意形成をどう両立させるかなど、根本的な課題について議論をする必要があると考えますが、これらについて今後どのように議論を深めていくお考えか、お聞きいたします。


 次に、2つ目のテーマの日常の総合防災訓練のあり方について、お尋ねいたします。

 初めに、防災訓練の目的と検証について伺います。

東京では例年、関東大震災の起きた9月1日を教訓に、秋に防災訓練が行われてきました。近年では阪神・淡路大震災の1月17日、東日本大震災の3月11日と、都市基盤が崩壊するほどの大災害が発生し、本市の防災訓練のあり方も変化してきています。夏休みの終わりに都立武蔵野中央公園で、イベント参加型の防災フェスタが開かれるようになり、10月の総合防災訓練は関係者による実動訓練型に、また1月には市民社会福祉協議会主催の防災ボランティアセンターの訓練が行われています。

こうした通年でのさまざまな取り組みについて、総合的な位置づけと評価はどのようにされているのか、またあわせて、先日、第四中学校や市民公園を会場に行われた総合防災訓練の目的と成果、実施後の検証と今後への課題を伺いたいと思います。

 次に、自主防災組織、医療機関等との連携についてお尋ねします。

各会場の訓練について、当日まで内容や進行に関する案内がなく、自主防災組織の市民から戸惑いの声が多く聞かれました。私も防災課に当日の流れがわかるようなものが欲しいと伺いましたが、当日会場で配付するのでと、取りつく島もない対応でした。自主防災組織や防災協力員にはどのような役割を、また医療機関や関係者にはどのような獲得目標を求めているのでしょうか。そして地域の市民団体、一般の参加者には何を求めているのでしょうか、伺います。

 3点目に、障害当事者の参加と意見反映についてお尋ねします。

今回の総合防災訓練では、昨年実施できなかった視覚障害者の方々の訓練が行われました。ちょうど訓練の2週間ほど前、PTA活動で第四中学校におりました私は、下見に来た職員の方々と遭遇し、そのときは障害者福祉課、防災安全部の担当職員がいらしたので、よろしくお願いしますと言いました。しかし、当日の意見交換の席で参加者から指摘を受けたように、一般の訓練とは別の工程で、防災安全部以外の職員が担当するなど、今後の改善が必要と思われますが、いかがお考えでしょうか。

また、一昨年は聴覚障害者の方々の訓練が行われましたが、今回も参加できると思って訪れた当事者や支援者の方もいたのではないでしょうか。手話ができることを示すビブスを用意して、手話通訳者の方に待機してもらうとか、福祉避難所への誘導体制とか、実動訓練として優先すべきことがもっとあったのではないかと感じました。障害当事者、支援者の意見をどのように訓練に反映させてきているのか、お尋ねいたします。

 最後に、一昨年の防災に関する一般質問で、ガイドヘルパーや介護ヘルパーなどへの災害時の対応の周知やヘルプカードの普及啓発について提案をいたしました。民間の事業所や自立支援協議会当事者部会の活動にとどまらない、その後の市としての取り組み、進捗状況を伺います。

 よろしく御答弁のほど、お願い申し上げます。


○市 長(松下玲子君)  内山さとこ議員の一般質問にお答えをいたします。

 まず、大きな1問目の1についてでございます。1の中に2点、この「等」は何を示すかということと、今回初めての報酬審設置だが、諮問の内容、理由について伺うとのことでしたので、まとめてお答えをいたします。

 特別職報酬等審議会条例第1条に定める「等」が何を指すかにつきましては、各条例に規定されている市議会議員の期末手当、市長及び副市長の期末手当及び退職手当、監査委員及び教育長の給料、期末手当及び退職手当の額を指すものと考えております。今回諮問いたしました内容、理由は、市議会議員の議員報酬の額、特別職である市長、副市長、教育長、監査委員の給料の額、退職手当の額について、同審議会条例第2条の規定に基づき諮問をしております。私自身の退職手当の額につきましては、邑上前市長が就任直後に退職手当の減額についての条例改正案を提出され、議会の中で付帯決議が付され、報酬審議会に諮問し、その上で改めて削減をしたという経緯がございますので、その経緯を鑑みて、今回審議会の意見を求めているものでございます。

 なお、特別職報酬審議会につきましては、平成8年から13年までは開催されませんでしたが、平成14年度に開催をし、その次の平成16年度の答申において、その時々の市政の状況や財政状況等を時期に応じて判断材料とするために、定期的な開催が望ましいものであることが付言されました。それ以降、定期的に開催をしているものでございます。

 続きまして、1の2についてでございます。市長、副市長につきましては、平成元年における給料月額が、それぞれ85万円、72万円でしたが、平成4年、6年、8年度に増額をされ、それぞれ107万円、90万円と上昇したものの、平成23年度に現在の金額である103万円、86万5,000円に引き下げられました。議員報酬につきましては、平成元年における報酬月額が43万円、議長は50万円、副議長は45万5,000円でしたが、平成4年、6年、8年度に増額され、現在の金額である55万円、議長は67万円、副議長は60万円となりました。期末手当については、市長、副市長、議員とも支給月数は同じとなっており、その支給月数は東京都人事委員会勧告に基づき決定されております。一般職の期末手当と勤勉手当の支給月数を合計したものと同様の推移となっております。

 続きまして、1の3についてでございます。議員の役割、議会の責務、市長の責務等につきましては、自治基本条例に関する懇談会で熱心な議論が行われ、骨子案として報告をいただいたところでございます。市としては、この骨子案を尊重し、条例化に向けて検討を進めていきたいと考えています。中でも議会と市長との関係については、議会側との数度にわたる協議を行い、一定の整理をし、他の自治体の自治基本条例にはない、一歩踏み込んだ記載を行うことができたと考えております。今後、自治基本条例、議会基本条例の策定の過程では、議会の役割あるいは議会と市長との関係を初め、協議が必要な事項がまだ出てくると思われます。その都度、協議の方法も含め、議会にもお諮りをして進めていきたいと考えているところでございます。

 続きまして、大きな2問目の1についてです。まず、それぞれの訓練の位置づけについてお答えをいたします。

 防災フェスタは幅広い世代が参加できる啓発で、子ども世代を中心に、幅広い世代が参加できる防災イベントです。自助意識を喚起する行事と捉えております。総合防災訓練は、震災発生直後の市民の生命を守るため、一時集合場所、避難所や緊急医療救護所等の拠点を中心とした公助、及び地域の協力による取り組みの向上を目指すための訓練であります。防災ボランティア訓練は、震災発生後、早期に災害ボランティアセンターを機能させ、多くのボランティアの協力による支援を有効に活用できる体制を整えることを目指す訓練です。帰宅困難者対策訓練は、吉祥寺駅周辺等の多くの人が集まる場所での混乱を防ぎ、市内における救助活動等の取り組みを速やかに実施できる状況を整備することを目指す訓練です。年間の訓練を通じ、1人でも多くの市民の生命を守ること、災害発生直後の混乱を防ぎ、速やかに有効な活動ができる体制を整えることを目指しております。

 次に、訓練の評価についてです。訓練を準備、実施する中で課題を抽出し、その後の改善につなげているところでございます。例えば平成29年度避難行動要支援者対策訓練では、報告書を具体化したDVDを作成し、DVDの視聴によるイメージの共有を図る、平成30年度には実動型の訓練を実施し、情報共有等の団体間の連携部分の具体化ができたなどが挙げられます。

 今年度の総合防災訓練についての目的は、昨今の被災地での避難所で発生する各種問題や避難者ニーズの多様化に対応するための対策について、避難所運営組織で活動される方々等に理解を深めていただき、各避難所での対応に反映させることです。このため、避難行動要支援者対策訓練、要配慮者トリアージ訓練、ペット対策訓練等、震災時の避難所で発生することが想定される対応について、実動訓練のほか、資料配布、展示等による啓発にも取り組み、一定の成果が得られたと認識をしております。実施後の検証は、各団体と反省会等を通じ、行っております。防災施策としての検証は、今後の地域の訓練等で実施しながら行ってまいります。

 今後の課題としましては、地域から、総合防災訓練で実施していたことをみずからの地域の避難所に持ち帰って訓練を実施したいという、実践的な訓練を望む声もあります。一定の段階での訓練内容の見直しや、各避難所での実践的訓練の実施など、各種訓練の充実する方法を検討していく予定です。

 次に、大きな2問目の2についてでございます。総合防災訓練の御案内は、事前に自主防災組織等に、実施日、実施場所、訓練内容等を示した文書を発送し、周知を行っております。それぞれには実施している訓練内容を見学してもらい、地域に持ち帰っていただくこととしていますが、この点の周知が不足していたと認識をしております。また、当日は受付に職員を配置し、場内の案内図の配付等を行い、訓練参加者が各ブースを自由に見学してもらうように案内をしておりましたが、次回からは、より積極的な声かけ等の対応を検討していきたいと考えます。

 今回の訓練における自主防災組織の訓練参加者の役割は、避難所運営の中で行われる要配慮者トリアージ、ペット対策等、震災時の避難所で発生する事案について理解を深めてもらうことです。また、震災時には避難支援コーディネーターを受け持つ防災推進員については、避難行動要支援訓練へ参加することによって、災害時に受け持つその役割を確認してもらうことにあります。医療関係者等の獲得目標については、各活動場所での役割と活動要領の確認などです。地域の市民団体や一般参加者については、避難所開設や非常用トイレの設置状況について知っていただくとともに、実際に消火器や救助工具を手にすることにより、家庭での備蓄等など自助の取り組みや共助の取り組み、各参加団体の災害時の活動について理解を深めてもらうことであります。

 続きまして、大きな2問目の3番目でございます。今年度の総合防災訓練で、初めて視覚障害者対応の訓練を実施いたしました。訓練を実施する上で、避難行動、避難所受け入れ時の受け付け、避難所生活における移動という3点を課題として掲げました。具体的には、市の職員が視覚障害者を誘導する受け付けを行う訓練と、視覚障害者の方が学校内を移動し、避難所施設、災害用のトイレや特設公衆電話を体感する訓練です。現状では視覚障害者に対してどのような対応が必要であるかという課題を整理する段階にあり、視覚障害者対応のみを対象とした訓練を実施した次第でございます。ただし、将来的には全ての被災者を一緒に、避難誘導や受け付けを行う訓練が必要であると認識をしております。

 訓練当日は、障害者福祉にノウハウがある障害者福祉課職員とともに訓練を実施しましたが、訓練の企画段階などは防災課の職員がかかわっており、訓練の結果についても両課で課題を共有し、次回の訓練につなげていくこととしております。聴覚障害者向けの訓練は平成27年、28年度の2カ年実施しており、訓練の経験を備蓄品の整備等に反映した経緯がございます。平成29年度の訓練からは聴覚障害者の方に一般の訓練参加者として御参加いただいており、市は、来場に備えて手話通訳者を配置したところでございます。

 2の4番目についての御質問です。ヘルプカードは平成25年に武蔵野市地域自立支援協議会の専門部会である、くらす部会からの提案を受け、市が作成しました。障害のある人が困ったときやトラブルに遭ったときなど、その人のことを周りの人に伝えるのがこのカードの役割です。これまで市と地域自立支援協議会が検討を進め、ヘルプカードに関するさまざまな普及啓発活動を実施してまいりました。武蔵野市障害者計画・第5期障害福祉計画でも、心のバリアフリーの推進、ヘルプカードの普及啓発の推進を掲げております。障害のある人だけでなく、地域の人にもヘルプカードについての理解を深めてもらうために、市と武蔵野市地域自立支援協議会が連携協力を図りながら普及啓発に努めてまいります。また防災としても、市の主催する訓練や地域での訓練において、ガイドヘルパー、看護ヘルパーなどの災害時の対応や、ヘルプカードについての啓発周知に努めていきたいと考えます。

 以上です。


○12番(内山さとこ君)  再質問ですが、後半の防災の取り組みのことで、ちょっとお尋ねしたいことと御紹介したいことがあります。

総合防災訓練を実施するに当たって、さまざまな獲得目標や目的や役割の確認を期待したというのは今御答弁にありましたが、参加者の方がその目的意識を持って参加しないと、なかなか機動的に動いて役割を確認するということは難しいのではないかと思っています。私は根本的に、1カ所に人を集めてデモンストレーション的な防災訓練をするということの限界を、やはり皆さん感じているのではないかと思うのですよ。日常生活の中に突如災害が襲ってくる、その非日常の世界に突然押し込まれるわけです。だけど防災訓練、ここの会場を使ってこういうことをやりますというのは、もうあらかじめ非日常のところへ出かけていってくださいという設定で行うのですよね。

 関係機関の方々に実動訓練が重要だということは、当然というふうに思います。公助の取り組みということは必須であると思いますが、やはり大事なことは、その仕事として働いている関係機関の方だけではなくて、市民お一人一人がいざというときにどう行動すべきかということを暮らしの中で備えておくことだと思うのです。例えば、市内の高齢者施設ですとかテンミリオンハウスですとか障害者の方の作業所ですとか、さまざまな小さな単位での定期的な訓練、それから、いざというときどういう施設と連携していくのかということを、運営主体のほうも、それから市民のほうも認識できるような、日常生活の中に非日常を設定するという、そういうこまめな、丁寧な訓練で課題が見えてくるのではないかというふうに考えます。

一人一人の経験値を高めるために一堂に人を集めるということは、私は余り効果が得られないのではないかと思いますが、その点どうお考えでしょうか。御一考いただきたいと思います。

 先ほど御紹介したいと言いましたのは、先日、障害者福祉課長も、視覚障害者協会の周年行事の際に御挨拶されている中で述べていましたが、やはり防災安全部の職員がいない、障害者福祉課の職員で対応するというあり方に疑問を持たれていたようです。それは訓練の後、共有されているというふうな御答弁でしたけれども、そういう分けるというやり方そのものの限界、見直すべきだというふうに、私は今回強く思いました。

私は当日、校庭のどこにも視覚障害者の方々が見当たらないので探して回りまして、安全対策課長が情報提供してくれてわかったのですが、四中の学習センター、御存じかわかりませんが、あの上の階でプレイルームというところがありますが、そこで意見交換されていた。その場に私は立ち会えたので、当日の参加者の方々の声を直接聞くことができました。その意見交換の場で出された当事者の方々の御感想、御意見は、全ての参加者、全ての職員に聞いてもらいたいと本当に思いました。

 例えば、先ほどの、なぜ分けるのかという話です。どうして他の参加者と分けられているのですか、当然の疑問です。さっきの御答弁では、視覚障害者の方の受け入れに対してのニーズを把握する、課題を整理するために別にしたというのですけど、それは、避難所に来ている方にとってのどういう課題やどういうニーズがあるかというのは、分けて訓練したらわからないのではないかなというふうに素朴に思いました。

それから、当事者の意見や感想で、「私たちのように訓練の参加できる元気な障害者ばかりではありません、むしろ参加できない方のほうがずっと多いです。

おっしゃるとおりです。その方たちにどういうふうな初動的な対応ができるかということが、まさに命を守る、混乱を防ぐ、それに直結していると思います。それから、これは同行した職員の方々の感想の中に、どういう支援ができるのか、何をすればいいのか勉強しますという、非常に真面目な感想が聞かれたのですが、当事者の方は、「まずは人間同士としてコミュニケーションが第一だと思います

というふうにおっしゃいました。これには、聞いていたほかの当事者の方から、「それは心のバリアフリーという意味ですね

というふうに合いの手が入りました。この方はその後、「私たち障害者」この方は障害ということをなるべく使わないように、苦手という言葉を使われるのですけれども、「見ることが苦手な人たちは助けてもらうばかりではありません。例えば力が弱いお年寄りの方や小さい子がすぐお水を飲めるように、あらかじめペットボトルのキャップを緩めておくとか、できることは手伝います。

これはさまざまな避難所での実践を想定した言葉だと思っています。

 ぜひ、きょうこの一般質問の中で御紹介しましたけれども、こういったことを全市的に共有できるような、そういう体制に改めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それと、ちょっとこれは余談になるかもしれませんけれども、今回の総合防災訓練の前日の土曜日というのは、第四中学校は2学期最大行事の四中祭だったのです。土曜日です。翌日日曜日、四中祭の連日の準備と片づけもありながらですよ、当日、学校の管理責任者の方は、自分たちの子どもたちの行事、四中祭当日よりももっと早く、6時半過ぎには学校に待機していたと。これでは、教育長、教育委員会が幾ら教員の多忙化解消を叫んでも、現場は全く変わらないのではないでしょうか。こういう防災訓練の実施日と実施会場の選定というのは、年間スケジュールの中でどのように決定しているのか、この決定をするのは防災安全部だというふうに聞いていますけれども、全庁的にどういうふうに考えていらっしゃるのかということを本当に思います。この点についても御答弁があれば、伺っておきたいと思います。


○市 長(松下玲子君)  内山さとこ議員の再質問にお答えをいたします。まずは総合防災訓練の、1カ所に人を集めてデモンストレーションを行う形での訓練の限界を感じているとの視点から、市民一人一人が暮らしの中、つまり日常生活の中で災害という非日常に備えることが重要ではないかとの御質問かと思いますが、おっしゃっているような日常生活の中、市民一人一人が暮らしの中で備えることの重要性というのは私自身も認識しておりますし、だからといって、こうした1カ所に人を集めて行う総合防災訓練が不要だということにはならない、むしろ両者それぞれの違いがありながらも、ともに災害に備えるというために必要であるという認識を私は持っております。

 その上で、やはり災害というのは、いつ何どき起きるか、これは誰にもわかりません。また、その人の、一人一人の健康状態や生活様式、どういった日常行動を行っているかは、その人一人一人、自分自身しかわからない部分があると思います。私は、まず災害においては、自分の命は自分で守るという自助が非常に重要であり、健康状態や生活様式、行動様式が人それぞれであるため自助が重要であり、それを補うものとして隣近所や、また地域を含めた共助の取り組み、そしてそれを支える行政としての公助の取り組みが必要であるという認識を持っております。その意味で、さまざまな役割を確認し合うためにも、総合防災訓練において一人一人防災意識を高めて、自分のこととして持ち帰って、どういう備えをするのか考えるためにも、私はこれは、限界という表現をなされましたが、不要とは決して思っておりませんので、市民一人一人が暮らしの中で備えるためにも必要な訓練であるという認識を持っております。

 次に、視覚障害者の方の今回の訓練の対応についての、また、その訓練を御視察された中で、視覚障害、また見ることが苦手な方たちからの訓練を通じた直接の御意見というものを全市的に共有できないかといった趣旨の御質問かと思います。まず過去の経緯を鑑みて、聴覚障害者向けの訓練を実施しており、その上で現在は聴覚障害の方も一般の訓練参加者として参加いただいている経緯がある中で、今回初めて視覚障害者対応の訓練を実施する中で、一般の方、また聴覚障害の方と視覚障害者のことを分けたことについて当事者の方からさまざまな御意見があるということは、私も担当課長から報告を受けているので承知をしております。

 その上でも、あえて分けることによって課題を整理する段階、初めての視覚障害者の方対応の訓練ですので、課題を整理する、具体的に何が課題なのか、当事者としてのどうした御意見があるのか、避難所の使い方等も含めて訓練が必要であったという認識を持っております。その上で、今後は全ての被災者を一緒に、避難誘導や受け付けを行う訓練が今後必要であるという認識を持っておりますので、今回いただきましたさまざまなお声は、今後の防災訓練、また総合防災訓練に生かしていきたいと考えております。

 続きまして、学校行事と防災訓練の実施の設定については教育長からお答えをしたいと思います。


○教育長(竹内道則君)  学校の防災訓練のことについては、具体的な実施方法についてはいろいろとあるのだと思います。ただ、学校は避難場所ですし、災害時においては一義的には児童生徒の安全確保が学校の役割ですし、そこに専念するのだと思いますが、その先に避難所運営に係ることも想定されていますので、そういう意味での訓練の必要性はあると思いますし、大事なことだと思います。ただ、内山議員がおっしゃった学校の多忙化との関係では、これとは別個に、今それこそ1時間単位のことをぎりぎり考えていますから、そのことについては私としても学校に対して、ただ単に定時に帰ってくださいとかそういうわけではなくて、仕事の中身についてどういうふうに考えるかというのを学校とともに考えていくことが必要だと考えております。


○12番(内山さとこ君)  市長にも1つずつ言葉を考えながら御答弁いただきまして、ありがとうございます。また教育長には、通告の際には教育長に通告していないのに答えていただいて恐縮です。

おっしゃるように、公助の訓練が不要だというふうに申し上げているのではありません。それはおわかりだと思いますが、一人一人の市民が経験値を高めるには限界があるというふうに思っています。それで、こまめなアウトリーチ型の、職員が出向いていって、小さな単位でプチ防災訓練をするとか、あと学校施設で重要なのは、生徒たち、児童たちが授業をしているとき、そのときに避難所に急遽しなければいけないときの訓練というのはなかなかできにくいと思うのです。それこそやはり学校現場としては、対応が混乱しないようにしなければいけない重要な事柄だと思います。

 9月1日にかつて行われていたというのは、意味があった上に、ちょうど2学期の初日で、今も集団下校を子どもたちしていますけれども、やはりそのときに、もう一度日ごろの防災の備えをすることは大事なことだというふうに思っています。そういう、何かちょっと、今授業のほうも忙しいとは思いますけれども、さまざまな学習指導要領の改訂などもあって大変かと思いますけれども、その辺も含めて、それはきちんと継続していただきたいと思います。

 それと、今後見直していただけるというふうな御答弁がありましたので、ぜひ、やはりいわゆる災害弱者と言われる、小さなお子さんを抱えた妊婦さんもいるでしょう、おばあちゃんとおじいちゃんでお孫さんを見ているときに発災があるかもしれません。視覚障害者の方が同行援護でお出かけになっていてたまたまということもあるかもしれません、さまざまな想定があります。それは市長がおっしゃるとおり、市民一人一人違うと思いますので、そういう災害のときに最も弱い立場の方々がどうすればいいのかということをきちんと訓練の中に織り込んでいただけるように、メニューと体制を根本的に立て直していただきたいというふうに思います。それはお願いしておきます。

 それで私、以前、緑町かいわいであった訓練の際に、ハウスグリーンパークでのトリアージ訓練に自治会のメンバーとして参加しました。そのときはやはり、ホワイトボードに来た方の情報を書き出すとか、一人一人に、この避難所にいるということを確認するためのカードを記載していただくとか、トリアージというものの意味が全くわからなかったのですけれども、実践的にいかに大変かということがよくわかりました。やはりそういう経験はとても大事なので、もっとこれから、3月11日のあの大震災からだんだんと記憶が風化しつつあるかもしれませんけれども、そういうときこそ、市長おっしゃるようにいつ起きるかわからない災害に備えられるような、緊張感を持った取り組みを進めていっていただきたいというふうにお願いしておきます。

 

1つ目のテーマの議員の役割と議員報酬の考え方についてですが、これは、はっきり言えば、市長、行政側に私どもが質問するまでもなく、私たちが深い議員としての内省と、それから市民意見を踏まえた上で今後自分たちのあり方を考えていかなければいけない問題だというふうには思っています。期末手当についてはまた条例も提案される予定ですので、そのところで触れたいと思いますが、議員報酬については、やはり議員がどういうものか、議員というものをどう規定するかということと表裏一体だと思うのです。

 ですから特別職報酬等審議会の皆さんも非常に悩ましいのだと思うのです。議会基本条例の策定に期待を寄せていらっしゃるということは、一昨年の報酬審議会答申からも読み取れました。やはり私は、これから武蔵野市議会が議会基本条例を自治基本条例と一体的に、そごのないように策定していく過程で、やはりこの議員とは何者なのかという議論を根本的な問題として捉えていくことが重要な課題だというふうに思っています。それは今期のメンバーではもう時間がないことかもしれませんので、来期、新たな議員の皆さんで議論を深めていただくことを私は切に望んでおります。

 ただ、自治体として、議会基本条例はともかく自治基本条例の中に書き込むということは、これは非常に深い意味を持つことですので、今後、議会と調整をしながらということは当然なのですけれども、ぜひ実態把握ですとか、それから武蔵野市として、自治としてどうあるかを考えるという、そのスピリットをしっかりと持って臨んでいただきたいと思っています。

時間がありませんけれども御紹介しますと、全国市議会議長会が昨年8月行った市議会議員の属性に関する調べでは、専業化の傾向というのが最近大変高まっていて、女性では67.4%、男性では38.9%、平均して43.2%が専業であるという結果が出ています。これは814市区で1万9,170人の議員を対象にしていますが、回収率100%ということで、かなり全国市議会議長会としても力を入れています。これは全国ですので、都市部、また東京、また武蔵野では属性というのは変わってくるものと思いますけれども、兼職を私たちは禁止されていないわけですが、果たして兼職でも可能なほど議員というのは暇なのですかと、そういうふうな疑問を投げかけられることほど私たち悲しいことはなくて、やはり先ほど申し上げましたように、多様な住民意見を反映しつつ、議会という議事機関として合意形成を図っていかなければならない議会の役割というのは、さらに増してきているというふうに思っています。

 憲法の第93条では、御承知のとおり議会を議事機関と規定しており、地方自治法の起案もされていた鈴木俊一氏の著書には、「地方公共団体は議会を議事機関として設置する旨を規定しており、意思決定機関という語は用いていないが、この議事機関という語は合議制の意思決定機関という意味であって、諮問機関というような語に相対する言葉だ

というふうに述べています。私たちは、やはり議事機関を構成する一人一人の議員としての責任をしっかりと果たしていかなければいけないということが、議会基本条例に記載するまでもなく今問われているというふうに思っています。皆さんも御承知のように、福島県の矢祭町では日当制を導入し、全国に大きな波紋を広げました。しかし矢祭町から以降、それほど議論が深まっているとは言えない状況と思います。また会津若松市では、議会改革で先進的な取り組みをしている自治体というふうな位置づけであることは有名ですが、各特別職の報酬について研究分析したということは画期的なことだったと思います。先ほど述べましたように、今後、議会基本条例、そして自治基本条例を武蔵野市が今これから策定するというのであれば、この、どこの自治体も着手してこられなかったような、議員とは何か、そして報酬とはどうあるべきか、これについて研究、検討、議論を深めるべきというふうに考えます。


○午後 7時10分 延 会