2018.2.23 : 集団での学びが困難な子どもたちの支援を

○12番(内山さとこ君)  今回の一般質問は2つのテーマ、集団での学びが困難な子どもたちへの支援等についてと、自治基本条例(仮称)の策定について質問いたします。

 初めに、現在、来月の12日まで骨子案素案の意見募集を行っている自治基本条例(仮称)に関して質問いたします。松下市長は就任からまだ間もないので、余り私のスタンスを御存じないかと思いますので、若干冒頭に紹介いただきますことをお許しいただきたいと思います。

 全国でも市民自治の先進自治体として知られる武蔵野市に、あの松下圭一さんがコミュニティ構想を打ち出してまちづくりの骨格を形成した武蔵野市に、なぜ自治基本条例がないのだろう、私がかつて一市民として素朴に疑問に思いました。そして12年前、前市長が就任された後、第四期長期計画の調整計画、これがローリングの計画が若干変わって前倒しで行われました。その際に、100名規模の公募市民が参加する市民会議が設けられ、私は長期計画の5分野のうちの行財政の分野の市民委員になり、市民同士で議論を交わしました。自治基本条例が行財政の分野に属するテーマだったからです。貴重な経験をさせていただきました。そしてこうして議員となってからも、ほぼ2年に1度のペースで一般質問のテーマに取り上げ、条例策定に関しては人一倍関心を持ってきたつもりです。

 今回、骨子案素案という段階ながら、市民意見の募集や意見交換会が――今度の日曜日にも行われますが――行われるに至り、大変感無量です。しかも骨子案をまとめる懇談会の座長に、武蔵野市の第一期基本構想・長期計画の第二次調整計画の際に策定委員を務められ、そして在住市民学者として深く武蔵野の長期計画にかかわってこられて、その後は日本の地方自治制度の大御所となられた西尾勝さん、また副座長には、皆様御存じの、元武蔵野市職員として情報公開制度や政策法務、自治法務を手がけた先達、条例づくりの研究者でもある天野巡一さん、このいわば知り過ぎたといいますか、知り尽くしたお二人をお迎えできたというのは、無上の喜びです。恐らく特別職を初めとする市の職員の皆さんにとっても得がたい経験と思われます。

 しかし、自治体運営の根幹をなす自治基本条例の骨子案についての議論が半ばというところで、前市長からはこれを引き継ぐのは、極めて異例のことと思います。前市長にとっては就任当初から公約だったわけで、いよいよ条例づくりが緒についた段階でふいに引退を表明されたということは、いささか唐突の感がありました。市長選挙といういわば政権選択を問う民意の結果いかんでは、前市長の方針に批判的な候補者が当選し、政策転換する可能性も大いにあるわけです。

 幸いにも前市政を継承する立場の市長にバトンは引き継がれましたが、松下市長は、社会人として民間企業にもお勤めになり、さらには日本経済のリーダー経営者を育てる松下政経塾に入られた経歴をお持ちです。企業経営とは異なる自治体の運営について、首長がどのような姿勢で臨むのか、それは自治体運営の総合条例を策定するに当たって、極めて重要な問題であると考えます。

 そこでまず新市長として改めて、自治基本条例(仮称)の必要性、位置づけについての御所見を伺いたいと思います。今回の骨子案素案の前文に盛り込まれた目指すべき方向性については、市民自治、人権の尊重、そして恒久平和の3点を掲げ、これは日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和に匹敵する、とても重要な点で、すばらしいことと思っています。また、詳細の手続は別途条例を設けるとして、常設型住民投票を定めた点も大変評価するところです。

 全体の構成については、先日の総務委員会行政報告の際に若干申し上げましたとおり、幾つか特色があります。議会と市長の関係で1つ章立てしているということについては、西尾座長の言葉をかりれば、自治基本条例というのは市長と議会の両方の完全な合意のもとにつくられることが理想で、2つの代表機関の両方で合意してつくれたら、全国的にも余り例がないものが初めてできるのではないか、それこそ武蔵野にふさわしいことだと思ったことが、座長を引き受けた理由の一つと語っていらっしゃるように、大変画期的なことであります。

 ただ条文の必要性の議論は一定理解するところですが、自治体運営の総合条例の骨格として、平和について丸々1章を割くことは果たして必要なのか、むしろ武蔵野のまちづくりの骨格を形づくったコミュニティ構想を位置づける上で、コミュニティという章を立てるほうがより武蔵野らしいのではないかなどと1人考えました。ことし5月を目途に骨子案が固まれば、全体の骨格を大きく変更することは難しいことでしょう。余り時間の余裕はありません。

 このような視点から2点目に、骨子案素案に示された基本原則、各章立ては維持されるお考えか、また議会基本条例との整合をどう図るのか、お考えを伺いたいと思います。

 3点目、2020年度から計画期間となる第六期長期計画策定に向けて、来年度から総合政策部を中心にさまざまな準備が始まります。言うまでもなく市政運営のともに最上位である条例と計画ですから、策定委員も市民も職員も我々議員も議論を重ね、参加のプロセスが重要であります。そして最終的には議会の議決を経なければなりません。そこで長期計画策定を控え、今後の条例策定スケジュールと方法についてお伺いします。


 次に、大きなテーマの集団での学びが困難な子どもたちへの支援等について質問いたします。東京都特別支援教育推進計画の第三次実施計画において、平成30年度までに都内公立小学校で特別支援教室を導入することが示されたことを受け、本市ではいち早く昨年4月から、これまでの拠点校3校に加えて、全市立小学校12校に巡回型の特別支援教室を設置いたしました。本市では、市内3番目の知的特別支援学級の改級に向けて準備を進めていた同時期に、巡回型の特別支援教室を設置するということで、学校関係初め特別支援教育の御担当には大変な御苦労があったことと推察しております。

 その準備が進められていた2015年の12月、私は特別支援学級も特別支援教室もない、究極のインクルーシブ教育を行っている実在の大阪の大空小学校の例を挙げて、地域の学校は全ての子どもを受け入れる、全ての子どもが学べるみんなの学校であってほしい、そういう思いで一般質問いたしました。

 開始からまだ1年足らずではありますが、特別支援教室について、児童数の推移、学習指導時間数、教室の確保、また各小学校での児童が在籍する学級担任と巡回指導教員、専門員、臨床発達心理士等との連携など、現状を伺います。また現時点での特別支援教室導入後の成果と課題について、どのように捉えていらっしゃるか伺います。

 次に、ことし2月、東京都は、都内4つのモデル校での実施を踏まえて、中学校における特別支援教室導入についてのガイドラインを作成しました。2021年度までに都内全中学校に導入するという方針です。今後本市では、中学校における特別支援教室の導入についてどう考えていらっしゃるか伺います。

 次に、長期にわたり公立小・中学校を欠席している、いわゆる不登校と言われる子どもの実態把握について、人数、理由、適応指導教室、チャレンジルームの利用状況、その他生活状況等について伺います。また、この適応指導教室、チャレンジルームに通うことを好まない、外出が難しい子どもたちに、訪問事業を行っているとはいえ、適応指導教室以外の居場所や支援の必要性について、以前から指摘があるところです。対象年齢を学齢期に広げるなど、若者サポート事業の拡充、また児童生徒対象の新たな居場所づくりが必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。

 次に、ひとり親家庭、精神的疾患を抱える保護者、日本語を母語としない保護者など、複合的な福祉のアプローチが必要な家庭、保護者への支援について、現状と課題を伺います。

 終わりに、武蔵野市の教育センター(仮称)構想の実現に関して2点お伺いします。教育センター(仮称)構想について、「未来を考える武蔵野の子どもたちのために」と副題がついた検討委員会の報告がまとめられましたのは、今からちょうど5年前です。箱物としてのセンター開設は公共施設等総合管理計画の中で、将来的に延べ床面積の縮減路線が示されており、学校施設整備基本方針で、早期に改築する学校施設内に設置していくという記載にとどまっています。

 しかしながら、来年度、学校施設の整備計画づくりという具体的な検討に入らざるを得ません。現在分散している機能をどこにどのような形で集約していくのか、いかないのか、子どもの数がふえて、教室数の確保さえ難しいのに、教育センター機能を付加するゆとりは果たしてあるのか、集団での学びが困難な子どもたちがふえ、福祉的アプローチの重要性が高まっているなど、5年前とは状況が大きく異なってきています。今果たして従来の教育センター構想のままでよいのか、体制は十分なのか、検討が急がれます。

 そこで教育センターの目指す5つの機能、相談・支援、研修、教育情報収集・発信、調査・研究、ネットワーク構築・コーディネートを果たすべく設置された教育推進室の成果と課題、今後の展開についての検討状況を伺います。

 いま一つは、児童数増加に伴い、校外移転の必要性が増していると言われる大野田小学校地下の教育支援センターについてです。適応指導教室の継続、途切れのない相談支援体制などを維持しつつ、どこにどのように新たな場所を確保していくのか、支援を必要とする子ども、保護者にとって切実な問題です。教育支援センターの移転、相談支援体制の拡充についての検討状況を伺いまして、壇上での一般質問といたします。よろしく御答弁のほどお願いいたします。


○市 長(松下玲子君)  内山さとこ議員の一般質問にお答えをいたします。まず初めに、自治基本条例(仮称)についてでございます。

 西尾勝座長のもと、武蔵野市自治基本条例(仮称)に関する懇談会で、委員の皆様にさまざまな議論をいただき、骨子案の素案がまとまりましたこと、関係された全ての皆様に敬意を表したいと思います。まだ正式には答申という形では出ておりませんので、具体的な意見は控えたいと思いますが、大きな方向について御質問いただいた中で述べていきたいと思います。

 自治基本条例(仮称)の必要性や位置づけについてでございます。武蔵野市は40年前の第一期の長期計画以来、市民参加を軸に、市民自治によるまちづくりを行ってまいりました。その伝統を大切に、今後もより一層市民自治を推進していくために、自治基本条例は必要であると考えます。また、地方自治制度の原則とも言える二元代表制について、市長、そして議会という2つの機関の関係を中心に双方の役割を明確にし、お互いが市民の代表として切磋琢磨しながら建設的な議論を交わしていくことが、よりよい市政運営につながっていく、そのためのルールとして条例化は必要であると考えております。自治基本条例はこうした目的達成に向けた、他の条例の解釈の基準となる市の最も基本的な条例という位置づけになると考えております。

 続きまして、基本原則や各章立てが維持されるのか、また議会基本条例との整合をどう図るかについての御質問です。基本原則や各章立てについても懇談会において議論をいただいた結果でございますので、尊重したいと考えております。今後の市民意見の聴取を経て、最終的な骨子案の報告を受けた後は、その内容を踏まえた上で、条例案について検討をしていきたいと考えます。

 骨子案素案の中には、議会や議員の役割や市長と議会との関係についての話が含まれておりますので、そういった議会に関する項目については議会と十分に協議を行い、議会で検討中である議会基本条例との整合を図った上で規定する必要があると考えております。具体的にどのような形で議会と調整を図っていくかについても、今後議会と十分にコミュニケーションをとりながら進めていきたいと考えます。

 続きまして、第六期長期計画策定を控えた今後の条例策定スケジュールと方法についての御質問です。いただいた市民意見を3月中に取りまとめ、4月に懇談会を開催し、骨子案への意見反映について議論をする予定となっております。その後、5月ごろをめどに最終的な骨子案について懇談会から報告をいただく予定です。報告を受ける骨子案をもとに、具体的な条文案について庁内で横断的な組織連携により検討を行い、検討の経過においては、現懇談会のメンバーからアドバイザー的に助言をいただくことも考えられます。

 条例案の素案についても市民意見の聴取は欠かせず、また議会とも十分に調整を行う必要がございますので、骨子案素案の完成から上程までは、おおむね1年程度かかると見込んでおります。今後スケジュールについて議会とも相談してまいりますが、私といたしましては、平成31年度中の上程ができればと考えているところでございます。

 続きまして、集団での学びが困難な子どもたちへの支援等について、私にかかわる部分をお答えいたします。適応指導教室以外の居場所や支援の必要性についての御質問です。

 若者サポート事業については、おおむね15歳から18歳の青少年について、目的もないままに高校生活を中退し、ドロップアウトすることがないよう、また中退者等については再チャレンジできるよう、学習支援を含む日常生活支援を行う居場所の提供や、将来形成展望につながる個別相談等を実施しております。子ども家庭センター、生活福祉課、障害者福祉課、教育支援センターなど、関係各課による若者サポート推進連絡会議を開催し、情報の共有、意見交換を行いながら事業を進めています。

 教育支援センターと連携する中で、授業への参加に至った若者もおり、中学卒業後も支援をつなぐための受け皿の一つと考えます。中学生においても、教育委員会と連携した上で若者サポート事業への参加は可能であると考えられますので、引き続き関係各課・機関との連携を強化する中で、授業充実に努めていきたいと思います。

 続きまして、ひとり親家庭、精神的疾患等を抱える保護者、日本語を母語としない保護者など、複合的な福祉のアプローチが必要な家庭、保護者への支援についての現状と課題についての御質問です。

 まず現状についてでございます。複合的な課題を抱えた家庭については、子育て支援ネットワークの中で、関係機関による個別ケース検討会議等により、具体的な支援について検討を行っています。会議では御家庭の状況を共有し、主たる援助者にどこの機関がなるのか、各機関でできることは何かなどを整理し、役割を明確にして、できる限りの支援を行っています。

 例えば精神疾患等を抱える親に対して、訪問看護の利用など医療面の支援を行うとともに、障害福祉サービスとして、家事援助の提供により日常生活の負担軽減を図っております。さらに育児をする親が十分に子どもの世話ができない場合は、育児支援を家事援助サービスの対象として提供しております。

 課題については、市からの働きかけについて受け入れが難しく、どのように関係をつくっていくのかが難しいといった家庭もございます。そのような状況であっても信頼関係を築けるよう、粘り強く取り組んでまいりたいと思います。

 他の質問については教育長からお答えをいたします。


○教育長(宮崎活志君)  それでは私のほうからは、大きな御質問の2についてお答えしたいと思います。まず内山議員には、集団での学びに困難な状況である子どもたちに対して継続的に関心を持っていただいておりまして、大変ありがとうございます。それでは御質問にお答えしたと思います。

 まず特別支援教室の現状について。児童数の過去5年間の推移についてお答えをしたいと思います。平成25年度から平成28年度までは、市内3校に設置した通級指導学級に通っていた児童数の合計でございます。平成25年度は67人、平成26年度は78人、平成27年度は101人、平成28年度は120人です。平成29年度から特別支援教室を導入しました。年度当初の人数は146人でございましたが、本年の2月現在、ちょうど今の段階では185人となっております。増加してきているわけでございます。

 児童1人当たりの指導時間は1週間に1時間から3時間程度となっております。教室につきましては各学校おおむね1教室を確保しておりますが、確保できない学校につきましては、指導内容に合わせて空き教室、余裕のある教室や余裕スペースなどを工夫して使用しております。

 各学校におきましては、今年度から配置された特別支援教室専門員や特別支援教育コーディネーターの教員が中心となって、児童の在籍学級担任や巡回指導教員との連絡調整を行っております。在籍学級担任と巡回指導教員の連携が強化され、児童の状態により即した指導、支援ができるようになってきています。

 また数人の臨床発達心理士がそれぞれの担当の学校を年10日程度訪問しておりまして、各学校において児童の行動観察をして教員に助言することで、より専門的な指導ができる体制を構築しています。こうしたことが理解されて、人数がふえてきているということが言えるかと思います。

 次に、特別支援教室の導入後の成果と課題についてという御質問でございますが、成果といたしましては、全ての学校に特別支援教室が設置され、児童が通いやすくなったことや、発達障害に対する教員や保護者の理解が進んだことで、より多くの児童が障害の状態に応じた専門的な指導を受けられるようになったこと、また巡回指導教員と在籍学級担任の連携が強化され、児童の状態により即した指導ができるようになったことなどが挙げられます。

 一方課題といたしましては、指導対象児童の増加に伴いまして、児童1人当たりの指導時間が減少していること、専門性の高い教員を中心に、若手教員を系統的に育成する必要があることなどが挙げられます。限られた時間の中で指導を充実させるため、平成30年度におきましては、東京学芸大学の橋本創一教授の研究室の協力を得て、また巡回指導教員とも連携して、児童の実態把握の方法、教員の育成システム、各学校教員の障害理解の促進などに関する実践的調査研究を行うことを予定しております。

 次に、中学校における特別支援教室の導入についての御質問でございます。中学校の特別支援教室につきましては、東京都発達障害教育推進計画におきまして、平成30年度から、準備の整った区市町村から順次導入し、平成33年度までに都内全ての中学校での設置を目指すこととされております。本市では可能な限り前倒しして、中学校全校で特別支援教育を導入することを目指しております。導入に当たりましては、小学校と異なり教科担任制であることや、複雑化する人間関係、教室環境、小学校から中学校への指導の接続など、中学校特有の状況にも配慮しながら進めていきたいと考えております。

 次に、今度は不登校の状態にある子どもたちの実態把握についての御質問でございますが、これは他の議員にもお答えしたことと一部重なるかもしれません。文部科学省が実施いたしました児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして、平成28年度に本市の市立小・中学校で年間30日以上欠席した人数は、小学校は27人、中学校は45人、計72人となっております。

 不登校の原因は、無気力、人間関係、学業不振、家庭環境、情緒的困難など、複雑に関係しているとされております。さらに近年では、発達障害による学校への不適応を背景として不登校につながるケースも増加するなど、不登校の状態は多様化しているものと認識しております。

 適応指導教室、チャレンジルームの利用状況につきましては、本年1月末現在、小学生が12名、中学生が19名登録しておりまして、1日当たり10名程度の児童生徒が来室しております。生活状況につきましては、適応指導教室に通っているほか、漠然とした不安や身体の不調のために外に出られない、それからまた、いわゆるフリースクールと呼ばれるところに通っているなど、一人一人多様な状況にあるものと認識しているところでございます。

 次に、適応指導教室以外の居場所や支援の必要性についてお答えをいたします。不登校の状態にある児童生徒に対しまして教育委員会では、学級担任による働きかけを初めとした学校による組織的な対応、スクールカウンセラーによる相談対応、スクールソーシャルワーカーの派遣、適応指導教室、チャレンジルームにおける指導支援など、一人一人に寄り添った対応に努めているところでございます。

 平成30年度におきましては、庁内関係課長、小・中学校長、チャレンジルーム長などで構成する委員会を設置して、学識経験者の助言も受けながら、不登校対策の総合的検討を行う予定でございます。これは既に一度お答えしたとおりでございます。

 魅力ある学校づくりを基本として、適応指導教室、チャレンジルームの運営のあり方に加えて、学校における不登校傾向の早期の発見と早期の対応の仕組みづくり、スクールソーシャルワーカーの今後の配置体制、家庭への支援、関係NPO等との連携のあり方などについて、総合的に検討していきたいと考えております。

 これは市長からもお答えがあったところの私のほうからのお答えでございますが、教育委員会として福祉的アプローチが必要な家庭、保護者への支援について、現状と課題についてというお尋ねでございますが、教育支援センターでは各学校に定期的に教育相談員を派遣しております。支援が必要な家庭については、教育相談員が学校と連携して相談につなげています。

 また、福祉関係機関につなげる必要が高い場合は、学校からの依頼を受けて、スクールソーシャルワーカーが家庭訪問や関係機関への同行などの支援を行っております。また、帰国外国人教育相談室におきましても、学校からの依頼を受けて、必要に応じて通訳などの支援を行っております。

 課題といたしましては、プライバシー保護への配慮などもあり、学校において子どもの家庭生活の状況が見えにくく、保護者への早期のアプローチがしにくい状況があることが挙げられます。しかしながら、学校は子どもが毎日通う場であり、子どもの状態の変化などに気づきやすい場と言うこともできます。教育委員会といたしましては、教員が子どもの家庭の経済的な困難さや養育上の課題に気づくためのチェックポイントをまとめたリストを作成しているところでございます。教員が家庭への支援の必要性に早期に気づき、校内で共有の上、必要に応じて教育相談員やスクールソーシャルワーカーにつなぎ、市内外の関係機関と連携して保護者を支援するなど、組織的な対応が図りやすい環境づくりを進めてまいりたいと思います。

 続いて、教育推進室の成果と課題、今後の展開についての検討状況ということでございますが、教育推進室は平成27年度に発足し、平成28年度には学校支援コーディネーターや調査研究担当の嘱託員等スタッフの拡充が図られ、教職員に対する相談・支援、研修、教育情報の収集・発信、調査・研究、ネットワーク構築・コーディネートという、これは内山議員からも御紹介いただきました教育推進室の5つの機能がそろったところでございます。

 また、推進室が本庁内にあることで、指導主事を初めとしてさまざまな部署との連携がとりやすいことから、学校の状況に応じた適切なサポート人材の配置や、地域コーディネーターとの連携の充実による地域の教育力のさらなる活用など、成果を上げてきているところでございます。課題といたしましては、教育推進室が担う5つの機能の一つ一つを、今後さらに充実させていくことであると考えております。

 また、今後の展開ということでございますが、このような推進室の現状から、教育センターの機能の有効性は確認できましたので、今後は組織や施設上の課題等を検討しながら、教育支援センターを含め、教育センターとしてのあり方について展望してまいらなければならないと考えております。

 それに引き続いての御質問で、教育支援センターの移転、相談支援体制の拡充についての御質問でございますが、大野田小学校の児童増加を受けて校舎の増築などを行いましたが、平成34年度にはさらに学童クラブのスペースが不足すると見込んでおります。そのため、教育支援センターと適応指導教室、チャレンジルームを移転することとし、移転先として現在、学校施設や公共施設、民間施設も含めて検討しているところです。

 市として一定の方針が決まり次第、早期に市民に情報提供を行い、平成32年度末には移転できるよう、移転先を決定したいと考えております。また移転に当たりましても、現在の相談支援体制を維持しながら、スクールソーシャルの配置体制や関係機関との連携など、相談支援体制の拡充も検討していきたいと考えているところでございます。

 私からは以上です。


○12番(内山さとこ君)  ありがとうございました。再質問させていただきます。

自治基本条例の件につきましては、今、骨子案素案の意見募集、これから意見交換会などもあるところですので、私からはこれ以上は意見を申し上げないつもりです。議会としてもしっかりと自治基本条例の策定に関して、御期待に添えるように頑張っていかなければいけないという気持ちが強まっております。

 総務委員会のときに私は申し上げたのですが、恐らく2020年度施行ではないですかということを言ったのです。今市長から、平成31年度にはというような、ちょっと希望的なお話があったのですけれども、やはり策定にはかなり時間がかかりますので、来年の統一自治体選挙をまたいでしまうことになると私は思いますので、議会としてもその継続性、一貫した策定については責任を持つ必要があると思いますので、これから何らか議会としても対応していけないと私自身は思いました。

 1点だけ要望ですが、ホームページで最近いろいろな催し物の御案内をしていますが、スケジュールで、自治基本条例の日程については、なぜか懇談会とか出ていないのです。私は何度か傍聴させていただいていますから、次の会議の日はわかっているのですが、ほかの方、数名しかいつも傍聴されていなくて、内部の職員の方もいらっしゃる。外部の方だって自治基本条例の懇談会をやっていたら、大勢関心があって来たいと思うのです。ぜひホームページのイベント・スケジュールにきちんとフルネームで、懇談会、策定委員会の日程等をこれから載せていっていただきたい。御答弁お願いします。

 

後半の教育に関する子どもたちのことなのですけれども、まず実態把握と分析について、ちょっと確認させていただきたいのです。今教育長は特別支援教室の子どもたちの数が、きょう現在では185名とおっしゃいました。昨年の5月1日時点では146名だった。私は1月に御担当に聞いたときは180名だったのです。またさらにふえている。ふえるのは当然だと御担当も予測されていたと思います。当初、特別な指導が必要な児童数は209名と想定されていましたので、それに迫ってきている。

 問題は先生の数なのだと思うのです。当初146名で配置されていますから、教員は15名のはずです。ただ、今185名になっていれば、これは明らかに先生の数が足りない、子どもたちの学びに支障を来す、時間数も確保できないということになってまいりますので、来年度に向けて、当然都教委のほうからのしかるべき配置はあると思いますけれども、今後市として、そういう特別支援教育に経験があったり理解のあるOBですとか、潜在的な人材を確保する努力をしていくべきだと思います。これは教育長が中学校においてもなるべく早期に導入したいと、大変うれしい御答弁をいただきましたので、中学校の特別支援教室導入に向けても重要なことだと思います。

 今、二中にあるこぶし学級では、昨年の5月の時点で13人、2学級があるということですが、都のガイドラインに示された調査によれば、これは平成27年の調査ですが、約5%の可能性で、この特別支援教室に通う可能性のある子どものいると推定されていて、現在の市の中学生の数で言いますと、昨年の5月の時点ですが、1,860人となっていますから、これを単純に計算すると93人、今のこぶし学級13人に比べて大幅に80人ふえる予測になります。ということは、1校だけで済むのかという問題もありますし、先生方の確保は、都内の各自治体、各学校で本当に奪い合いになってしまいます。ぜひ先生の確保をお願いしたい。

 私は昨年、ちょうど1年前ですか、特別支援教育の先生方を独自に採用していただきたい、それから事務職員を正規雇用していただきたいとお願いしたときに、当時五十嵐副市長が、事務職員のことに関してですが、この過去20年にわたって正規の職員を減員してきたという流れがある中で、今後正規化が必要なのだということであれば、そこは十分協議をして最終的に決めていくことではないかと。今後教育委員会のほうと必要性があるならば協議をしていくとおっしゃいました。事務職員のことで答弁されていますが、先生を確保するのは、何よりも子どもたちの学びにとって重要だと思っています。

 教員力が教育力であり学校力だと思っていますので、ぜひそこは市長、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正によって新たに、地方公共団体の首長と教育委員会との総合教育会議という場が設けられましたので、この協議に値すると私は思っていますので、ぜひここは考えていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

 それから、実態把握といいながら、いろいろ御要望を申し上げてしまいましたが、適応指導教室の生徒数が、私はちょっと事務報告書を見てびっくりしたのですが、延べ人数が激減しているのです。

先ほど教育長は実数でお答えいただきまして、それだと事務報告書よりもふえているのですが、私が実感としていろいろな保護者ですとかから御相談いただいていたことが、実は数字の上にあらわれていたのかとちょっと驚いているのです。というのは、適応指導教室には行きたくないと言っている、でも行く場所がないのだという御相談が結構ふえているのです。この適応指導教室の通室数が平成28年に、特に児童数ではなく生徒数ですが、延べで535人なのですが、これは平成26年が延べ人数で1,137人だったのに比べてかなり、3分の1になっている。さらに卒業生で通室しているお子さんに至っては、平成28年が33人なのです。平成26年は延べ人数で113人いたのです。

 このお子さんたちが学校に通うようになったとか、別の場所に行かれているということであれば、これはある程度何か解決を見たということで構わないのですが、もしも義務教育課程にある、高校受験もこれからある中学生のお子さんが、行く場所がないなどということになったら、これは大変なことです。教育の機会の確保にも反することになってしまいますし、考えていただきたいと思っています。

 この、私が申し上げた事務報告書等の数字、それから教育相談の冊子等に書かれている数字について、何か御担当で分析の結果があるのであればお示しいただきたい。きょうこの場でなくても、予算委員会などでお聞きしていきたいと思っています。

 それと、若者サポート事業については、中学生の利用も可能かと思われる御答弁があって、大変勇気づけられました。新たな予算も計上されていることですし、事業の拡大ということも予定されていらっしゃるようですので、ぜひ子どもたちの居場所を確保していっていただきたいと思います。そこまで伺います。


○市 長(松下玲子君)  内山議員の再質問にお答えをいたしたいと思います。まず御質問ではなく御要望でしたが、この間、正式名称で申し上げます武蔵野市自治基本条例(仮称)に関する懇談会、内山議員にも何回も傍聴していただいていると伺っております。市のホームページ等で広報の仕方について、しっかりと正式名称を書いて市民の皆様にわかりやすく広報するように見直したいと思います。御指摘ありがとうございます。

 そして今御質問をいただきました特別支援教育の教員の配置についてでございます。教員の確保というのはなかなか難しい課題であるとは認識をしておりますが、総合教育会議として特別支援教室の教員の配置について、しっかりと議論をしていきたいと考えます。

 以上です。


○教育長(宮崎活志君)  私のほうからは、まず、実際にその特別支援教室の対象となったお子さんがどんどんふえているということなのですが、特に今年度は初年度でもあったために、最初の5月の時点と現在の時点では大分人数が増加したわけでございます。それに対して教員が対応し切れなくなっているのではないかという御懸念をいただいたところですが、実際そのとおりだと思います。人数がもうふえているのですから、限られた人数では当然そうなってくるところです。

 ですからことしは大変御苦労いただいているところなのですが、東京教育委員会に対しても実は私どものから、既にこれに対して要望を兼ねてお問い合わせしております。ただ東京都としてもやはり途中でそれぞれの学校を見ながらその都度異動を行うということが、ちょっとできない状態です。もう既に先生方は全部どこかにおさまって指導に当たっているわけですので、まず年度途中での追加配置ということができない。

 最初からそういう剰余人数を持っているということもできないので、システム的に大変難しいということと、東京都はそれでも実は国の基準よりは多く先生が配置できるようにはしているところなので、ぜひそんな中で、特にまだ制度が開始したところであるから、大変困難もあるだろうけれども、ぜひお願いしたいということでございました。そこはしたがって、うちの教育支援課などを中心に、さまざまな資料づくりとかそうしたことで、先生方をどうしたらなるべく支援できるかという形での対応を、今当たっているところでございます。

 そこで、市独自の例えば教員の採用ということですけれども、これにつきましては東京都の広域な人事行政で行っていますので、正規教員として普通の教員と同じような条件を備えた形で採用はできないかもしれませんが、ただかなり例えばうちなどは学習指導員とか、そういう形でお力をかりるようなことなどはこれまでもしてきたところですので、ちょっと今までの通常の学校に行くのと違って、先生が巡回して回っている形ですので、果たしてこれに対してどういうシステムをとれるか、少し検討してみたいなと思っております。

 それから中学生の数字について、ちょっと今数字を持っておりませんので、これについてはまた別の機会にお答えすることにしたいと思いますが、ただやはり中学生にとって、特に2年生から3年生にかけて、チャレンジの指導員の方たちは非常に気を使って一生懸命支援してくれております。

 少なくとももし中学校に復帰できなくても、高等学校からもう一度受験をして、集団の場に出ていこうという気持ちになるように支援しているところですので、数値の上では、中学校在籍時は復帰できなかったけれども、そういう形で社会には出ていって学校に通っているということも十分ございますので、そういうものも含めて支援に努めているところで、先ほど中学生にとって行き場所がなくなることは大変なことだというのがありましたが、その同じ気持ちで子どもたちを支えていきたいと思っております。


○12番(内山さとこ君)  ありがとうございます。大変現場では御苦労されているということが今の教育長のお話でもよくわかりました。

 それで、今教員のことについてぜひ確保してほしいとお願いしたのですが、人員体制については、教育推進室、教育支援センターも同様に充実が必要と思っています。現在教育推進室が、係長職である室長のほか9名全員が嘱託職員で、また一方教育支援センターも、正規職員は1名のみで、センター長は再任用職員であるほか、適応指導室長を初め専門職も25名全部嘱託職員ですよね。

 嘱託職員だからいけないと言っているわけではないのですけれども、継続して、まさに先ほど市長が述べられた、ライフステージごとに途切れのない支援が欠かせないお子さんにとって、ころころ支援に当たる人が変わったのでは、その子にとって本当に必要な支援や学びができない可能性があります。それに、これから学習指導要領の改定があって、新たな教員の研修の必要性ですとか、それからスキルの充実ということも必要になってくる中で、今皆さん努力されていると思うのです。これも市長にぜひ御検討いただきたいことにもなりますけれども、人員配置を充実させていただきたい、これを求めたいと思います。職員定数適正化は、適正化にあって減員ではないというお話が、きのうの代表質問でしたか、何かありましたけれども、まさに教育分野は人です。福祉も人、教育も人ですので、ぜひ教育推進室、教育支援センターの人員体制の充実をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。

 それと、先ほど日本語を母語としない保護者のことについて言い漏らしましたけれども、相談件数が平成28年81人で、前年度比71人、飛躍的にとこういうときに使っていいのかわからないのですが、ふえているのです。日本語を母語としない保護者の支援については、公益財団法人の日本YWCAが、一定吉祥寺の武蔵野センターでやっているというお話も聞いたことがあるのですが、これは義務教育に通うお子さんの御家庭にとって、必要な欠かすことのない支援だと思っています。

 それでこういったことをつらつら今回いろいろと考えまして、教育支援センター構想の冊子もまた読み返してみまして、私なりに考えたことを申し上げます。大変失礼なお話かもしれない、お許しいただきたいのですが、一旦教育センター構想を見直していただいてはいかがでしょうか。

 5つの機能の中でたびたび指摘されている相談支援機能のことは、支援を必要とする子どもや家庭の相談支援と教職員や学校の相談支援というのは、対象も方法も異なるわけです。それで、この教育支援センターの構想で組織図ですとかシミュレーションしている中でも、教育支援と教育推進室は、結果的には2つに分かれているのです。

 であるならば、学校内に設置された教育センターというところには、適応指導教室に通うとか、相談したいというお子さんやお母さんやお父さん方はなかなか通いにくい。やはり学校に教育支援センター機能を移すということに無理があると思うのです。ぜひそこは考えていただきたいのです。

 子どもや家庭の相談支援ということは、私は地域リハビリテーションの理念をしっかりとこの教育支援センターの機能にしみ渡らせて、障害分野の専門職と一体として設置するべきだと思います。市の内部の教育支援課と一体でも構わないのではないかぐらい思っています。そうしたら、ちょっと勝手な言い方をして申しわけないですが、今の教育支援課のところに教育推進室が行けば、指導主事の先生方と一体として固まってお仕事ができるようになりますよね。そんなこともちょっといろいろと考えました。

 なぜそう考えたかというと、多摩地域の教育センターをいろいろ見てみますと、施設は廃校となった学校を活用したりしているところや、複合施設を使っているというところが多くあります。センター長は指導課長が務めているという例も結構見受けられるのですが、果たして教育支援センターの指導課長がセンター長でいいのかと私は思いました。

 それで、特別支援教育の取り組みが進んでいると言われる多摩市では、統廃合後の小学校、諏訪複合教育施設の中に教育センターがありますが、さらに健康福祉部所管の障害福祉の発達支援室が併設されている。これは大きな特色だと思います。それから国分寺市は、新幹線の展示があるひかりプラザというのを御存じかと思いますが、その中に教育センターがあって、それは体育施設や男女平等推進センターも併設された複合施設ですので、支援を必要とする御家庭やお子さんには非常に通いやすいと思います。

 先ほど教育長のほうから、平成31年度、32年度とおっしゃったのでしょうか、もう一度ちょっとはっきり伺えればと思うのですが、民間施設も含めて教育支援センターの移転をしていきたいとお話がありました。私が今申し上げたことも含めて、はっきり言えば教育部の機構改革ですとか組織改正にもつながる話になってしまうのですけれども、障害の受容が難しい御家庭や保護者がふえていますので、教育支援センターには障害部門の専門家が必要です。そこをぜひ考えていっていただきたいと思います。いかがでしょうか。


○市 長(松下玲子君)  教育支援センター、教育推進室の正規職員の配置については、御提案の趣旨も踏まえまして、全体の定数適正化の中で検討をしていきたいと考えます。


○教育長(宮崎活志君)  教育センター構想をここで見直したらどうかということなのですけれども、一応それはきちんと固まった共通理解を得たものですので、それを想定して考えているわけですが、ただ現在は、最終的にはセンターを一体どういうところにつくるかということが、まだその段階に至らない状態でございまして、機能だけを先行して実施しているという形になっております。

 その間にさまざまな状況の変化などもありますし、今おっしゃったような、どういう形での組織づくりができれば一番いいのか。定数についてはこれから  も応援していただいてつくっていくにしても、どういう組織がいいのかということは、ちょっとまだこれからやはり検討しなければいけないなということでございます。

 先ほど、32年度末には今の大野田の外に移転できるようにということを申し上げたわけですけれども、そういうところを一つの節目として、どうしていくのか、まとまるのがいいのか、そうでないほうがいいのかも全部含めて、もう一度きちんと考えていくことは必要ではないかなと思っているところです。

○12番(内山さとこ君)  まだまだ申し上げたいことがありますが、来週、同じようなテーマで一般質問される議員がいますので、期待を持ってバトンを託したいと思います。ぜひ機能の充実のために、市長にも応援をしていただき、集団での学びが困難な子どもたちへの支援を充実していってください。お願いします。

○午後 6時34分 延 会