○議 長(深沢達也君)  次に、次期学習指導要領と武蔵野の教育、公民連携の方針等について、12番内山さとこ君。

○12番(内山さとこ君)  質問の前に、今の一般質問のやりとりを聞いていて思ったことをちょっと申し上げたくなりました。笹岡議員が最後におっしゃっていた、地域という枠組みを越えたクロスオーバーするコミュニティの支援という意味で言うと、今、小さなことかもしれないけれども私も気になっていることが幾つかあって、例えば市民社会福祉協議会が行っている居場所事業の支援です。これは今年度から助成を切られた団体があって、聞いたところによると、そこの地域からどれだけの人が参加しているかという要件があるそうなのです。そこの地域に住んでいる人しか参加できない居場所、もしくはそこを重視する居場所事業という方向性は、社協としてどうなのだろうと私も思っていたのです。

また、5月の、毎年この時期に行われるNPO活動の助成金を決定するプレゼンテーションがありまして、私は去年も今年も傍聴させていただいていますが、そこで悩ましいのは、どれだけ地域に宣伝、広報しているかということですとか、地域住民の参加がどれぐらいあるかということが審査の対象の中に入ってきているのです。これでは広がりのあるコミュニティ活動、市民活動というものへの助成になりにくいのではないかと、私もちょうど疑問に思っていました。すみません、それはちょっと感想です。御参考にしていただければと思っております。

 それでは、今日の私の一般質問は、次期学習指導要領と公民連携という国の方針、これに対して武蔵野が自治体としてどうあるべきか、ということに大きな疑問を持って質問をさせていただきます。

 まず、次期学習指導要領についてですが、子どもたちの義務教育課程での学びが質・量ともに大きく転換するという次期学習指導要領が2020年度実施ということで、今、教育現場でさまざまな対応が必要になっていると思われます、1つは、英語の早期教育についてです。小学校の高学年、5、6年生で英語が評価対象の教科となって、これまで高学年で行っていた外国語活動は3、4年生に引き下げられます。これに伴って、小学校3年生からは学習時間が35時間増となって、4年生では現在の中学生と同じ1,015時間となります。1年間で1,015時間というのは週29時間、単純に割り算しますと5時間の日は1日だけです。委員会やクラブ活動があるために毎日が6時間授業という時間割が小学校3年生から始まってしまいます。前回、2008年の学習指導要領の改訂では、中央教育審議会が、児童の発達段階を考慮して1週間の総授業数を28時間を限度とした、にもかかわらずです。授業時間を朝や昼に分割するということも認めると言われていますが、実質7時間の授業なのではないかと心配する声も聞かれています。小学校6年間の総授業時間は140時間ふえて5,785時間となり、これは学校週5日制が完全実施された2002年度と同じ水準になります。今は6月ですから、ちょうど、あじさい読書旬間などと名づけられて朝の読書の時間が小・中学校はあります。また、中休みや昼休みは校庭で友達と体を動かして遊ぶ楽しみな時間です。こうした貴重な時間が削られてしまわないために、市はどういう対応をされるのでしょうか。既に他校では長期休暇を短縮して8月の下旬から2学期を開始したり、土曜に授業を振り分けたり、時間数の確保に追われてきています。

 そこで質問します。去る5月26日、文部科学省は、移行期間として、総合学習の時間のうち各15時間をそれぞれ英語、外国語活動へ振りかえる措置案を公表しました。現在、武蔵野市独自の取り組みであるセカンドスクールには何コマの総合学習の時間を充てているでしょうか。今後、セカンドスクールやプレセカンドスクール、土曜学校の見直しも検討せざるを得ないのではないかと心配しています。次期学習指導要領に関して武蔵野はどのような方針で臨むお考えか、これは市長と教育長両方に伺いたいと思います。

 2点目に、道徳の教科化については、御承知のとおり、そもそも教科として評価するべきであるのか論議を呼んでいるところです。この夏、来年度からの小学校の教科としての道徳で使用する教科書の選定が行われ、6月1日付の市報で、市役所と市内図書館での見本本展示の日程が公表されていますが、この選定の方法、スケジュール、どのような視点で選定を行うか、改めてお示しいただきたいと思います。

 また、この道徳の教科化に関する市長、教育長の御所見を伺います。

 3点目、今回、その質も量も大きく変化する次期学習指導要領の実施に当たって、児童、保護者への説明をどのように行うお考えか伺います。ちなみに、2002年、「完全学校週5日制と新学習指導要領の全面実施にあたって

と題する教育委員会のお便りの中で、児童生徒の保護者に対して理解と協力を求めた経緯がございます。そこでは、国の検討過程の概要と趣旨について、また、学校での指導の充実と総合学習の実績について、そして土曜学校の実施についてなど説明がされており、総授業時間数の減少はあっても、子どもたちに確実に身につけさせる基礎基本となる教育内容を厳選したものであると述べて、市の学校教育と生涯学習に関する揺るぎない決意を感じるものでした。

 4点目に伺います。小中一貫教育との関係です。市教育委員会が検討している小中一貫教育の中で、独自に市民科を設けるお考えと聞いています。独自教科を設ける必要性について改めて伺います。先行事例として市が視察された品川区では、道徳、総合学習の時間等を市民科に充てていますが、次期学習指導要領では、先ほど述べたとおり道徳が教科となり、総合学習の時間も英語に一部転用されるとなると、どう市民科の授業時間を確保するのか、これは悩ましい問題になっています。先日、5月2日の総合教育会議の資料におきましても示されております。特設教科武蔵野市民科(仮称)の実践研究として、境南小学校と第五中学校が、小学校第5学年から中学校第1学年の総合的な学習の時間、道徳、特別活動等を有機的に結びつけた効果的な学習活動の研究を行うと。ちょっと前半は略しましたが、これを研究の狙いとして今年度実施するということが定められております。この点について明確にお答えをいただきたいと思っています。

 次に、同じく小中一貫教育に関してですが、3月に行政報告された小中一貫教育調査研究ワーキングチームにおける論点整理、この中で示された自己有用感という言葉について、意味、根拠、目的をいま一度説明いただきたいと思います。またこれは、今後、子どもプランの中でも自己有用感という言葉、概念を定着させる方針であるのか、お考えをお示しいただきたい思います。

 次に、もう一つの公民連携についてお尋ねします。まず、昨年来、武蔵境駅北口の公民連携、PPPによる市有地活用につきましては、議会への陳情を初めさまざまな御意見、御批判がありました。3月の本会議で、私は、陳情審査に関する討論の際に、一連の流れを振り返って今回のPPP事業の検証と、しかるべき時期に一定の報告をと求めました。これについていかがお考えでしょうか。御答弁をお願いします。

 2点目に、ことし4月より本格稼働した新たなクリーンセンターは、公民連携の手法の一つとされるDBO方式で、市で採用したのは初めての手法です。市、事業者の責任と市民との協働の歴史を踏まえ、今後のクリーンセンター運営協議会との関係や、20年間の管理運営の評価、モニタリング等についての課題を伺います。

 3点目に、市では公民連携、PPPに関するガイドラインを検討するとしていますが、指定管理や包括委託などを含むPPP公民連携の網羅的なガイドラインを策定するお考えでしょうか。また、このPPPという手法による公的財産、市有財産等を利活用する開発事業については、市のまちづくり条例の対象となるのか、あわせて伺います。

 最後に、現在開かれている自治基本条例(仮称)に関する懇談会に関連して伺います。この懇談会では、ことし9月を目途に骨子案をまとめると聞いています。同懇談会では、情報公開と市民参加を大前提として、行政、市民、議会の基本的な関係性を規定する方向で議論が行われています。市民参加の先進自治体として全国に知られた武蔵野が、今、自治の総合条例を策定しようとしているわけです。これまでの武蔵野のまちづくりの方向性と、国の内閣府や財界の推奨する公民連携PPPを推進する方向性とは明らかに目指すべき自治体政府の理念が異なるのではないかと考えています。

 釈迦に説法のようでございますが、武蔵野市の骨格を形づくってきた原点は、1971年、第一期基本構想・長期計画であり、その背景には1960年代からの社会運動や革新自治体の登場があります。1969年の地方自治法改正によって義務づけされた自治体の基本構想の策定は、分権自治の進展に伴って廃止されました。しかし当時、官治集権型の経済開発に対して、この武蔵野は自治分権型による市民福祉、シビルミニマムの公共整備に取り組むまちづくりの計画の課題を転換してきました。そして、以来半世紀にわたって現在があります。法的根拠はなくても、長期計画条例の策定の過程でこうした武蔵野の一貫した姿勢は明らかになっております。武蔵野が目指すべき自治体の姿についてのお考えを改めて伺いたいと思います。

 以上、壇上での質問といたします。


○市 長(邑上守正君)  それでは、内山さとこ議員の一般質問にお答えしてまいります。次期学習指導要領と武蔵野の教育、公民連携の方針などについてということでございます。

 1点目の次期学習指導要領については、全体的には教育長からの答弁になりますが、私からは1点目、2点目を答弁いたします。

 まず、次期学習指導要領に関して武蔵野市はどのような方針で臨むのかというお尋ねでございますが、今回の学習指導要領改訂の背景には、情報化、グローバル化といった社会の変化が人間の予測を超えて進展していくということが想定されると伺っております。このような中で、学校教育には、未来のつくり手となる子どもたちに必要な資質、能力として、幅広い知識、豊かな情操、健やかな身体などを育んでいくことが求められていると考えます。本市においてもこれらの資質能力を十分に育むよう、本市の特色である、例えばセカンドスクールや土曜学校などを初め教育施策の一層の充実を図っていくことが必要である、このように認識をしているところでございます。

 2点目の道徳の教科化に関する所見ということでございますが、道徳の教科化の背景としては、いじめ問題や子どもを取り巻く環境の変化、規範意識や自己肯定感、社会参画の意識の低下などの課題があると伺っております。今回の道徳の教科化によって、子どもたちがよりよく生きるための基盤となる道徳性の一層の向上を図り、そのことがまた、本市の次代を担う知徳体のバランスのとれた子どもたちの育成につながっていくことを期待しているところでございます。

 次に、私から大きなお尋ねの2点目、公民連携についてでございます。その1点目でございます。2月の第1回定例会での討論の中で内山議員から、武蔵境駅北口市有地有効活用事業に関する検証結果などの報告をという御意見をいただいているところでございます。現在、事業が継続途上にあり、最終的には一定の報告をする予定でございますが、本日は現時点での考え方を申し述べます。

 本事業については、武蔵境市政センターの移転による市民の利便性の向上、駅前のにぎわい創出によるさらなるまちの魅力向上、子育て世代がふえている地域のニーズへの対応などの課題解決のため、従来手法では得られない付加価値を提供できる手法としてPPP手法が最適な手法であったと判断をしたものでございます。地元のまちづくりに御尽力いただいてきた団体や商店会の役員の方への説明や議会への報告も行いながら進めてまいりましたが、幾つかの陳情をいただき、その審議の過程において議会からも意見をいただいてきた経過でございます。これは、PPPという手法そのものの内容や、市民参加、議会の関与などについて市からの説明が十分ではなかったことから、市民の理解が十分得られていなかったことも原因と考えられ、今後の課題と捉えているところでございます。しかしながら、第五期長期計画・調整計画あるいは行財政改革アクションプランあるいは公共施設等総合管理計画でも位置づけているように、今後の市政運営や施設整備においてPPPは有効な手法の一つと考えているところでございます。PPP手法における市民参加、議会の関与のあり方も含め、PPPに関する基本的な考え方やガイドラインのようなものを議会の意見も聞きながら今後定めていきたいと考えておるところでございます。

 2点目、新たなクリーンセンターはDBO方式というもので行っておりますが、今後のクリーンセンター運営協議会との関係、20年間の管理運営の評価、モニタリングなどについての課題を伺うということでございます。本年4月より稼働いたしました新クリーンセンターは、20年間の長期包括委託契約を締結しているところでございます。今後長期にわたる施設運営において、市は施設設置者・管理者としての責任があると認識してございます。その責任のもとに事業者の行う運営管理を適正に行っていくものと考えています。今後、DBO方式の運営となっても、市の管理責任、運営協議会への説明責任はこれまでと変わるものではございません。

 新クリーンセンターの排ガスなどの基準値については、運営協議会のこれまでの活動や意向を取り入れた全国でも最も厳しいものとなっているところでございます。施設運営においてこれまで以上に新しい基準値を遵守していることを、市民、運営協議会、市、事業者で厳重に管理してまいります。事業者は、事業者選定時の要求水準書と提案書や契約書を遵守、運営を行っていくこととともに、セルフモニタリングを行い、事業者みずから施設運営や契約履行を証明し、その確認を市が行ってまいります。今後、事業者の行うセルフモニタリングの確認と施設運営が適正に行われていることを、市は日常的に業務の管理をするとともに外部の専門機関にもモニタリングを依頼し、二重の管理・確認を行っていくこととしております。

 旧施設の32年間の運営は、運営協議会とともに安全で安心できる施設運営に努めてまいりました。運営協議会は、施設の監視役として、また、地域とのパイプ役として大きな役割を果たしていただいたところでございます。今後もこれまでの運営協議会の活動を検証し、定期的に開催される運営協議会で、施設運営が安全に、適正に運営されていることを報告・説明し、運営協議会の監視のもと、地域住民と市が協力をしながら、今後も施設の安全で安定した稼働を維持継続し、市民に理解される施設運営に努めてまいります。

 平成29年3月には、新クリーンセンターの稼働に当たっての暫定の操業協定を締結し、その協定は旧施設の運営協議会の活動継承をしたものでございますが、基準値は旧協定より厳しいものとなっています。また、今後もこれまでの運営協議会の監視役としての活動、そして緊張感のある関係を継続し、地域住民から信頼される施設運営を継続していきたいというふうに考えています。

 7月に武蔵野クリーンセンター操業協定について、旧施設で提携していた範囲(緑町3丁目、北町5丁目、緑町2丁目3番)で締結するよう運営協議会で協議を行っているところでございます。

 3点目、市では公民連携PPPに関するガイドラインを検討していくと聞くが、指定管理や包括委託などを含むPPPの網羅的なガイドラインを策定するのか。またPPP手法による公的財産を活用した開発事業はまちづくり条例の対象となるのかというお尋ねでございます。御指摘のとおり、PFIや公有資産の貸し付けだけでなく、指定管理や民間委託まで、PPPの概念は広いものであるというふうに認識でございます。検討を始めたばかりでございますので、詳細はこれからになりますが、ガイドラインの内容は、PFIや公有地の貸し付けなど新たな施設整備を中心にしたPPP手法が対象になる、このように考えています。また、公的資産であるかないかにかかわらず、また、事業主が公であるか民であるかにかかわらず、その事業規模がまちづくり条例の対象であれば、当然、条例にのっとった協議や指導を行っていくこととしておるところでございます。

 4点目、現在検討中の自治基本条例においては、情報公開と市民参加を前提とした自治の総合条例を目指しているが、国が推奨するPPPを推進する方向性と理念が異なるのではないかというお尋ねでございます。現在、懇談会において自治基本条例に関するさまざまな議論を行っていただいているところでございます。どのような内容を盛り込むべきかという点を含めて、まだ検討中の段階ではございますが、武蔵野市が40年前から市民自治をうたっている言葉を明確にしながら、市民参加による特徴あるまちづくりを継承していくというのが一つの方向だというふうに思っています。市の基本ルールとしてこれらを確立し、武蔵野市の自治をさらに進めるための条例を目指していきたいと考えております。

 PPPは、今後見込まれる人口減少あるいは歳入の伸びなどを前提とし、市として今後避けて通ることのできない公共施設等の再整備を、市民サービスの向上などの付加価値も含めて効率的かつ効果的に実施するための一つの手法として、公共施設等総合管理計画の中でも位置づけしているものでございます。PPPによる施設整備を推進する上で、武蔵境駅北口市有地活用での経過を踏まえて、現在ガイドラインなどを策定しているところでございます。まだ検討段階でございますが、施設整備事業の最も初期の段階及び事業者の募集要項作成の段階で、市民と議会の皆様の意見を伺う仕組みが課題と捉えておるところでございます。ガイドラインの中では、市民の意見聴取や議会への説明過程は重視して検討していく予定であり、市民自治を推進する自治基本条例の方向性と異なるものではないと考えております。なお、このガイドライン等については、これまでの市の取り組みや経験を踏まえ、議員の皆様の御意見もお聞きし、策定をしてまいりたいというふうに考えております。

 私からは以上でございます。


○教育長(宮崎活志君)  まず、第1の質問でございますけれども、内山議員には次期学習指導要領と武蔵野市の小・中学校教育のあり方という、現在とても大きな課題について御質問いただきました。お答えをしたいと思います。

 まず、セカンドスクールには総合的な学習の時間を現在何コマ充てているかについてのお尋ねでございますけれども、平成28年度は、小学校では平均30から31単位時間、これをコマとおっしゃっておりますので、そういう形ですと30から31コマでございます。中学校では平均19から20単位時間、コマの総合的な学習の時間を現地での学習活動の時間として充てて、セカンドスクールを実施いたしました。

 次に、次期学習指導要領に関しての方針でございますが、今回の改定では、第1章総則の第1の2というところで、学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において子どもたちの主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開することと述べております。また、それに加えて、体験活動等を通して豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めることとも書いてございます。

 本市のセカンドスクールは、現地の自然や人々との触れ合いを通して子どもたちの豊かな情操や感性を育むとともに、主体的に問題を解決する意欲や態度を培うこと、また、長期宿泊体験を通して生活自立に必要な知識技能を身につけるとともに、進んで他者とかかわる力や子ども同士の豊かな人間関係を育てることなどを狙いとして、20年以上前から本市の特色ある教育活動して行ってきたものでございます。このようなセカンドスクールは、まさに次期学習指導要領の趣旨を踏まえた取り組みであると考えておりまして、今後とも一層の充実を図ってまいります。

 土曜学校につきましては、子どもたちの休日における居場所づくりというだけでなく、ひらめく・感じる・考えることを大切にした、普段経験できないさまざまな体験をしていただくことをその趣旨としております。今後も次期学習指導要領の趣旨を踏まえ、運営の方法等を調整しながら、適切に事業を継続してまいります。

 次には道徳の教科化に関する教育長の所見をとのお尋ねでございますが、市長の御答弁にもありましたが、私も特別の教科道徳が教育課程に位置づけられた背景には、いじめ問題の深刻化がやはり大きくあるだろうなと認識しております。現実のいじめの問題や子どもたちが直面するさまざまな問題に対応できる資質能力を育むためには、あなたならどうするのかということを真正面から問いかけ、道徳的諸価値についての理解をもとにして、子どもたちが自分自身のこととして多面的・多角的に考え議論をしていく、そういう道徳への質的な転換が重要であると考えております。道徳の教科化を一つの機会として捉え、問題解決的な学習や体験的な学習等を積極的に取り入れるなど指導方法を工夫し、本市の児童生徒の道徳性を一層育むことができるよう、道徳の授業改善を図ってまいります。

 また、小学校道徳の教科書採択についてでございますが、まず、採択の方法及びスケジュールにつきましては、5月中旬から、教員をメンバーとした教科別調査委員会で調査研究資料を作成し、6月には有識者、教員、保護者をメンバーとした教科用図書採択協議会で検討・協議を行います。その後、教科用図書採択協議会の検討結果とともに、市内全小学校の教員の意見や、見本本を見ていただいた市民の皆様の御意見を踏まえ、8月の教育委員会定例会で教科書の採択を行う予定でございます。

 教科書の採択に当たりましては、学習指導要領の道徳の目標及び本市の教育目標を踏まえ、各教科書の内容や構成上の工夫等の違いについての調査研究の結果に基づき採択を進めてまいります。特に、今回の道徳の学習指導要領の改訂の趣旨に沿った学習に適した教科書であるか、児童に道徳的な判断力や実践力を育てる教科書であるか、道徳の狙いに即して自己の成長を振り返ることのできる教科書であるかなどの視点を踏まえ採択を行ってまいります。

 次に、次期学習指導要領の実施に当たって児童や保護者への説明をどのように行うのかというお尋ねでございますが、現在、次期学習指導要領について国や東京都からの説明が行われているところでございますので、学校においては、今後さまざまな機会を捉えて、児童生徒や保護者に対し次期学習指導要領の趣旨や内容を説明していただくことができるよう、教育委員会からも適切な情報提供に努めてまいりたいと思います。

 続いて、市民科についてのお尋ねでございますが、現在、武蔵野市として、9年間の小中一貫教育を実施する場合の特設教科として(仮称)武蔵野市民科の検討を進めているところでございます。まず、武蔵野市民科の必要性ですが、全国学力学習状況調査の児童生徒への質問紙調査から、武蔵野市の児童生徒は、地域や社会で起こっている出来事についての関心や地域行事へ参加している割合が高いという結果が示されています。また、児童生徒のみならず、武蔵野市は社会参加に積極的な市民の方が多く、市政においても市民参加を重要な原則としているところでございます。社会は今後大きな変化を迎えることが想定されています。そのような中で、ただいま申し上げましたような武蔵野市の特色や子どもたちのよさをさらに生かし、子どもたちによりよい社会と幸福な人生のつくり手となる力を身につけさせていくことが必要だと考えます。市教育委員会では、従来の教科学習や道徳などの枠を越え、社会的課題やよりよい地域づくり、社会づくりに参画しようとする取り組みを学校教育で推進することが必要ではないかと考え、特設教科武蔵野市民科の可能性について検討を始めたところでございます。

 現在、武蔵野市民科は、独自教科として特別に時間を設定するのではなく、教科や道徳、総合的な学習の時間、特別活動との教科横断的な枠組みによる実習を中心に検討しているところでございます。武蔵野市民科では、自己を高めていく自立、目標達成に向けて協力する協働、進んで社会にかかわる社会参画といった3つの視点から、よりよい社会づくりに参画していく資質能力を総合的に育んでいくことを考えております。今年度設置を予定している特設教科武蔵野市民科カリキュラム作成委員会における有識者や教員、保護者、地域の皆様などの御意見や、小中連携教育研究協力校、先ほど御紹介いただいた2校でございますが、この取り組み状況等を踏まえ、教科道徳、総合的な学習の時間、特別活動との関連を含め、どのような取り組みが考えられるか、検討を進めてまいります。

 次に、自己有用感についてのお尋ねでございますが、内山議員から御指摘いただいたのは、武蔵野市小中一貫教育調査研究ワーキングチームにおける論点整理において、施設一体型の義務教育学校で期待される効果的な取り組みの一つとして示している自己有用感や思いやりの心を育成するために、個に応じた継続した生活指導や年齢差を生かした子どもたちの交流の実現に向けた取り組みの部分でございます。ここでいう自己有用感を育成するとは、他者とのかかわりを通して人から認められる、人に喜んでもらえたなど、相手に認められた経験から自己に対する肯定的な感情を高めていくという意味でございます。

 この自己有用感という言葉の根拠ですが、文部科学省国立教育政策研究所が発行している資料でございますが、例えば生徒指導リーフというのがございます。例えば平成27年3月の生徒指導リーフにも、児童生徒の社会性を育む基礎を形づくっていくものであり、自己有用感に裏づけられた自尊感情の高さが大切であるとされているところでございます。先ほどの武蔵野市民科に関する御質問で述べましたとおり、武蔵野市の子どもたちは、地域や社会と積極的にかかわっていく割合が高くなっております。そのよさをさらに伸ばしていくために、子どもたちが他者とのかかわりの中で自己有用感を高め、自分の意見や意思を持って行動する力などの社会性を向上させることをこれからの本市の学校教育で目指していくことが大切だと考えております。

 なお、子どもプラン武蔵野で自己有用感という言葉を定着させる方針があるかというお尋ねでございますが、現在の第四次子どもプラン武蔵野では、自己有用感という表記はございません。しかし、自己有用感に近い考え方としては、施策の体系の中の「道徳教育の充実

では、「豊かな人間性や社会性を育み、子どもたち一人ひとりに自信をもたせ、自分自身を肯定的に受け止めさせる」と示しておりまして、市教育委員会としては、今後とも自己有用感を含めた子どもたちの自己に対する肯定的な感情を高めていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○12番(内山さとこ君)  順次再質問させていただきたいと思います。

 まず、教育についてなのですが、今、教育長がお話しになった自己有用感のところなのですけれども、今御指摘になった国立教育政策研究所のリーフレットというのは、これのことではないかなというものを私もダウンロードして持っているのですけれども、その中では、おっしゃるように、自己有用感というものについて、自尊感情との違いを説明してあったりして、振り返り学習などでどのようにこれを高めていくかみたいなこともあって、それは一定理解するところではあるのですが、この前提となるところに、自尊感情が「アメリカの心理学で以前から注目されてきた概念で、日本では広く用いられるようになったけれども、セルフエスティームの直訳日本語訳で、自分に自信が持てず、人間関係に不安を感じていたりする状況が見られたりするという指摘を受けて、その自尊感情を高めることが必要というふうに主張されることが少なくないが

、つまり、アメリカの心理学の用語を日本語訳にしたものが自尊感情で、何か日本語としてそもそも自尊感情というものは存在しないみたいな導入部のくだりがあるのです。私はふと思ったのですけれども、では自己有用感というのは日本語として成り立つのかと思うのです。幾つかの国語辞典を見ましたけれども、自己という言葉と有用という言葉は引けますが、自己有用感なんていう造語はどこにも今のところ見当たらないのです。これは、私は、申しわけないけれども、国のそのリーフレット、国立教育政策研究所がおっしゃったとしても、武蔵野では使っていただきたくない言葉です。

 というのは、私は文教委員会の中でも若干申し上げましたけれども、今自分が存在していることさえ不安な子どもたちに、人とのかかわりの中で大切にされること、認められることを義務教育課程の中で教えていく、こんなことをされたら、子ども時代はなくなってしまいます。みんなやんちゃです。いたずらしたり怒られたりしながら育つのです。失敗して怒られるけれども、その中でみんな子ども時代を楽しく過ごしていって、大人になっていったときに、ああ、あれはやってはいけないなということを覚えるわけです。初めから褒められたい、認められたい、そのためにどうするかみたいなことを学校で尊敬する学校の先生とかが教えてくれて、子どもは一生懸命そうやろうと思いますよ、素直だから。その子たちが大きくなって、さあ大人になって、どうなるでしょう。私はとても心配です。一部、社会のために役立つとか、人のために役に立つ、そう考えることがなぜ悪いのだとおっしゃる方がいます。私はそれを悪いとは言っていません。それはとても大切なことです。2年前にノーベル医学生理学賞を受賞した大村 智さんは、何とか人の役に立ちたいと思って一生懸命研究されたと言っている。本当にいろいろな意味で、専門分野だけではなくて文化芸術分野でも貢献されていて立派な方だと思います。確かにあの方は、人のために役に立つ、そういう研究を一生懸命されてノーベル賞をお取りになった。でもそれは学校の義務教育の中でそういう授業をされたわけではないです。あの方の履歴を若干拝見しますと、やはり時代もあって、御家族との関係もあって、農作業とかを一生懸命子ども時代にされていたと。そこに学校での道徳教育だとか、かかわりの中で認められる、褒められる、そういう学びはなかったのです。何で今ここへ来てそういうことを義務教育の中でやろうとされるのか。子ども時代を奪わないでいただきたいと私は本当に心から思います。

 まずそれは私の意見ですので、御反論をいただきたいと思います。このまま自己有用感というものを武蔵野市の教育委員会が学校教育の目標の中でお使いになるということであれば、先ほどの国のリーフレットの中でも、自己有用感というのは自尊感情とか自己肯定感の中の一部だといっています。だったら、全体を示した上で、その中で自己有用感というものが今なぜ必要なのかということを言っていただきたい。全体をきちんと描いていただきたいと思っていますので、武蔵野として間違えないでいただきたいと思うのです。国の言うことを真に受けて、そのとおりにコピーする必要はありません。

 それで、セカンドスクールとか総合学習のこと、それから市民科のことなのですけれども、先ほどのセカンドスクールが総合学習の時間で何コマ使われているかというと、70コマの総合学習の時間で30から31が小学校、19から20が中学校というお話、これは現地ですよね。小学校で6泊7日、中学校で4泊5日、確かにそれはおっしゃる時間数だと思います。しかし、総合学習の時間、セカンドスクールには事前の調べ学習、それから帰ってきてからの振り返りの時間、新聞づくりとかもしますよね。それをあわせたら一体何時間ですか、お答えください。

 先ほどのように、英語学習の早期化が持ち込まれて、総合学習の時間まで浸食されてしまう。これはセカンドスクールが存立の危機ですよ。私は、これを実施することになったら、プレセカンドはもはやないと思っています。武蔵野市として独自のセカンドスクール、グッドデザイン賞も受賞された、そういうものが今、存立危機事態ですよ、はっきり言えば。こういう学習指導要領の、まあ押しつけとは言いませんけれども、質と量の見直しは、これは大変な問題だと思っていますので、この点についてもう一度御答弁いただきたいと思います。

 それから、大きな問題として言われているのは教員の多忙化のことですが、先ほど市民科を創設するとおっしゃっていましたけれども、平成26年の学校職員意識調査の中で、先生方が学校にいる時間が平均して11.79時間だという調査がありましたね。実態はもうちょっと多いかと思いますが、その中で、負担を感じる業務の一番は24.9%の事務処理。16.8%が調査報告です。私は、こうした特設教科市民科の調査研究ですとか、小中一貫教育にかかわる市の教育委員会が今やろうとされているこういう研究についても、多忙化の原因となって職員が負担を感じている業務をまさしく増やしていることにほかならないのではないでしょうか。教育委員会、それは都教委からも市教委からも両方あるでしょうけれども、そういった報告書について一々つくらなければいけない、これが現場の先生方の負担になっているわけです、現在。本当は子どもに向き合いたい、教材研究に時間を費やしたい、だけれども報告書をつくらなくてはいけない。そこへもってきて、いきいきプロジェクトはやっていますが、片方でこうやって小中一貫教育のための調査報告を求めていくということは、これはアクセルとブレーキを両方踏んでいます。もう少し現場の先生方の実態を考えていっていただきたいというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。

 日経新聞2月15日、これは文科省が次期学習指導要領案を公表した翌日の記事ですけれども、この中で、耳塚寛明さん(お茶の水女子大教授、教育社会学)のお話の中で、質・量の転換のところを画期的だと、それで課題を解決できる可能性があると言っていますが、評価している方でさえ、国などが条件整備を進めなければ学校現場が疲弊するリスクもある。授業準備の十分な時間が必要だ。教員の多忙化は深刻で、教職員定数の改善や業務の効率化などが欠かせない、こうおっしゃっているのです。私は前回の本会議、一般質問のときに、市独自の教職員の採用を考えてはいかがですかと申し上げました。学校の教員をもっと増やすべきなのです。国も都も。こういう小中一貫をやれと、学習指導要領を改定して量をふやして質を転換していくというなら。それを武蔵野市として独自にどう対応していくのか、どういう教育をやっていくのか、主体的に考えていただきたいです。その点についてもう一度伺いたいと思います。


○教育長(宮崎活志君)  それでは、再質問にお答えしていくわけですけれども、まず、今御質問いただいている内山議員と、実はこれはいろいろな見方、感じ方で多くのものは共有されているのです。私も今度の新学習指導要領が武蔵野の教育を非常によりよい方向、これまでのものを全て生かしてさらに促していくというか、さらに深化させていく方向にという形ではやはり内部にたくさん持っているなと思いますし、実はこれはほかの自治体においても同じではないかなと思っています。例えば、先ほど5,785時間ですか、今回の小学校の総授業時数の問題がありましたけれども、今回は小学校だけはあれだけ増えたわけです。実際には、先ほど1週間のコマ数がもう限界を超えてしまうではないかということがありましたけれども、それも実は同じでございまして、これはどこの市でも本当に困っていることの一つでございます。ただし、子どもたちにとってこういう学習が必要であるということが、今国によってその基準が示されたので、ではそれをどうやってできるようにしていくのか、それはどういう知恵が出るのか、また東京都教育委員会も多分、例えば教員の新たな教育職員の体制づくりをどうしたらいいのかといったこともきっと考えているのではないかなと思うのです。ですから、大変多くのところで共有されている悩みでもございますが、ただ、今、お話しになった、御質問いただいたことについて、ちょっと簡単になるかもしれませんが、お答えしたいと思います。

 自己有用感で、自尊感情はセルフエスティームの直訳和訳に近いという形で、ちょっとこれが心理学的な用語として示されたときの時代環境、社会の状況が違うのではないかというようなことがございました。セルフエスティーム、自尊感情は、日本でも最初は人権教育などで出てきたものでございまして、非常に自尊感情が低下している状態で、いわゆる社会的に例えば差別であるとかいろいろなことが繰り返されるという、その土壌になっていくわけでございます。ですから、そういったものを少しでも回復するという意味で、こうした自尊感情を高めていく、セルフエスティームの考え方というのは、そうした人権教育の大きな目標の一つになったところでございます。

 自己有用感も、もちろんそれにつながっておりまして、自分は有用であるというのは、役に立つとか、何か非常に功利的なことで言っているわけではございませんで、ここでいう、まあ世間はどう言っているか、私が少なくとも自己有用感という言葉に今回期待しているところというのは、自分自身というものの存在そのものが誰かにとって好ましいものとして受け入れられて、また受け入れられていくという、そういったことそのものも含めてのものを広く指しているつもりでございます。自分の生きたこと、生まれてきたこと、生は決して無駄ではない、必ずこれは何らかの意味を持っているということを自分の感情として持っていく。あと、自己有能感というのもあるかもしれません。例えば自分はこんなことができそうだとか、そういう思いを持ったりする。少なくともそういうさまざまな自己に対するセルフの肯定的感情が自尊感情といったものを形づくって高めていく、そういう方は自信を持って社会をよい方向に導いていくような社会の形成者になっていく、そういう期待がございます。だから、私は自己有用感というのは、そういった意味ではもっと広く自分を肯定的に認めるきっかけを含む感情といったものとして理解しているところでございます。

 次に、総合的な学習の時間でございますけれども、先ほど申し上げたのは、確かに各学校で共通して言えるのは、大体実際の現地での活動の時間の時間数ですので、あとは学校によって、取り組みによって随分違ってくるのではないかなというふうに思います。ただし、通常の授業ではセカンドスクールはかつても実はそうだったのですが、その学習内容によっては教科の学習とほとんど狙いも同じであり、内容も共通している部分もあって、例えば、セカンドスクールから帰ってきて何か作文を書いたり、それから表現をする活動、絵にあらわしてみようとかとなりますと、これはどちらかというとそういうものを素材とした教科学習の一部にも組み入れることができるということもあったりして、実は分離がなかなか難しいところがあります。ですから、明らかに現地での活動というのは、時数として総合的な学習の時間の、先ほど申し上げたような数字で平均値が読み取れるのですが、各学校によるとちょっと違うと思います。

今、内山議員おっしゃったようにもっと多くなると思います。そうすると、総合的な学習の時間が英語などに振りかえることができるようになるというのは、セカンドスクールにとっては大きな危機ではないかと。大きな危機です。そうだと思います。ですから、それをどうしていくかというのが私たちも本当に悩んでいるところですが、ただ、セカンドスクールをやっていない市や町村もたくさんございます。つまり、セカンドスクールというのは武蔵野でこれまでやってきた活動ですけれども、それとはまた違うものをやっているところもあって、でも、総合的な学習の時間というのはすごく大きな意味がある教育活動でございまして、これが入ることによって初めて教科とか何か内容を規定されないで、子どもたちや地域、それから学校が追求するテーマで勉強できる時間というのが生まれたわけなのです。

ですから、これ自体が、実は英語に15時間を転用するということではなくて、今回のものは、教科英語を15時間移行期間中実施するということを打ち出して、その15時間は、どうしても時間がない場合には総合的な学習の時間を振りかえることがあっても黙認するというような形で今認められています。ただ、それにしても、では総合的な学習の時間の教育的な意義はどうなってしまうのかというのも大変問題でございます。私はかつてその総合的な学習の時間の担当をしておりましたので、そちらのほうが実は非常に残念な思いでおりまして、総合的な学習の時間というものを大切にして、そこを今フィールドにして行われているセカンドスクールも大事にしていく、そしてそれとこれからの新しく生まれてくる教科英語、それから中学年で生まれる外国語活動をどのようにそこに定着させていくかということをこれから本当にちょっと悩みながら考えていきたいと思っているところでございます。

 それから、こういう研究なども教員の多忙化を助長することになるのではないかというお話でございました。非常に小中一貫教育は今後に、今後といってもかなり先も含めて有効な教育のあり方ではないかというふうに今考えて、仮説を立ててそれを検証する形をとっているわけでございますが、したがって、なるべく学校で実際にやっていただかないと分からない部分があって、武蔵野市民科もどんなふうにしたらできるのだろうかとか、こういうふうにしたらできるのかということを学校で確かめていただきたいこともあって、各学校に研究協力をお願いしているわけでございますが、これはかなり多くの学校にお願いをして、なるべく負担を減らすという形にしているつもりでございます。でもその中でも負担はやはり出てくるのではないかなと思っていますので、それをなるべく減らすように、これからのカリキュラムの検討委員会で、なるべく先生方が現場でゼロから全部考えなくてもいいような形で協力してできるような形を、今バックアップ体制をとっていくつもりでおります。

 それから、市が教員を採用すべきではないか、もっと主体的になるべきだというのがあったのですけれども、これは現在の制度の枠組みでは大変難しい状態がございます。今簡単には申し上げられませんけれども、そういうところがございまして、市が単独で教員を採用し、それを育て、そしてまた、その中で教員のいろいろな管理職への道をつくったりとか、そういうことというのはなかなか市単独では難しいという状況に現在はございます。ただし、先ほど言っていただいたように、「先生いきいきプロジェクト

も実施しておりますので、なるべく先生方の負担を減らすような方法を、今、校長会と一緒になって本当に一緒に考えているという状態にございます。

 直接の御答弁になったかどうかわかりませんが、以上でございます。


○12番(内山さとこ君)  教育長も大変苦しいところかというふうに思っておりますが、私が言いたいのは、国が今回の学習指導要領を示したからといって、全て忠実にやろうとしなくてもいいのではないかと思っています。本来、学習指導要領は小・中・高校の学ばなければいけない、教えなければいけない最低基準を定めていたはずなのに、最低どころではないですよね、盛り込み過ぎです。これははっきり言って教育の自治の侵害だというふうに思っていますので、間違っていることに対して従う必要はない。これまでの武蔵野の方針をきちんと堅持していただいて、子どもたちを守っていただきたい。先生たちを多忙化から守っていただきたい。そのための教育委員会だと思っていますので、ぜひそこはしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。

 それと、市民科については、品川の例をちょっと言いましたけれども、品川は教科書をつくっていらっしゃいますね。ということは、武蔵野市も、もしこのまま本当に特設科の市民科をつくるのだったら、教科書をつくられるということになりますか。これはかなりの大変な実務力が必要になってくると思いますので、もしお考えがあれば、それだけ伺っておきたいです。

 時間がないので、後半の公民連携のほうについても伺いたいと思います。公民連携については、まず私は、検証していただいて報告をいただきたいということについて、まだ今途中であるということですので、それについては理解しておりますが、まず、今回のPPP、武蔵境北口の開発事業についてのきちんとした振り返りをした上で、本当にPPPを武蔵野が今後継続して採用していくべきか否かということを改めて検討していただきたい。両方、ガイドラインをつくりながら検証するというのはやめていただきたいのです。まずきちんと振り返っていただきたい。その反省のもとでなければ、今後また同じようなことが起きると私は思います。

 今回私は思ったのは、クリーンセンターの件、今、視察も来ていて、とても武蔵野市として誇らしい事業だと思っていらっしゃると思いますけれども、忘れないでいただきたいのです、喉元過ぎれば熱さ忘れるではないのですけれども、周辺整備協議会が休止したあの1年余りは何だったのか。市民との協働というものをきちんと今後も貫いていただかないと、同じようなことがまた起きます。まあ余り、また繰り返しになりますので言いませんけれども、運営協議会との暫定的な協定を結ばれたと先ほどおっしゃいましたよね。まだ暫定なのです。今度のクリーンセンターを今後20年間どうやって市民と協働して運営していくのか、モニタリングのことも含めてです。きちんとまだ納得したというか、持続可能な体制になっているとはまだ言えないわけなのです。このDBO方式を採用したことについてもまだまだ検証、反省が必要な部分だと思っています。

 それで、さらに思い出したのは、議会の半分が入れかわっているのであえて申し上げますが、市民社協と福祉公社の社屋移転問題のことです。私はあのときに、たまたま厚生委員で市民社協の評議員でした。それで、何なのだ、このスキームで、何でこんなことが始まるのだと思って、当時厚生委員長は今の深沢議長でしたけれども、何とか全議員向けの説明会を開いていただいて、まず、建設協力金を基金から拠出して、民間に建物を建ててもらって、その中に社屋を入れるという、そのスキーム自体がどうなのだという話と、この検討の過程に一切市民参加がないではないか、この2点が大きな問題になって、市民の方の陳情が出ました。私はこの2件を振り返って思います。やはり武蔵野は市民参加、しかもただの参加ではありません。討議型民主主義を自治体としてつくってきているのです。それに、今回の武蔵境北口の市有地活用のようなPPP事業のパッケージで何が出てくるかわからない事業者提案を待つという方法は、これはやはりなじまないのです。そう思われませんか。御担当、そう思われませんか。まちづくり条例の御担当の部長、どう思われますか。まちづくり条例の市の責務、3条にあるところは、「市は、市民等及び開発事業者に対しまちづくりに関する情報を提供するとともに、市民等の意見が市のまちづくりに反映されるよう努めなければならない。」これに抵触しないようなPPPのガイドラインをつくれるのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。


○市 長(邑上守正君)  PPPにつきましては、今回のさまざまな課題も振り返るということが大切だというふうに思っていますが、一方で、PPP自体は当初から否定すべきものではないというふうに思っています。とりわけ、例えば商業地域の中での今回その市有地があったわけでございますが、その活用についても、もちろん市民サービスの向上、提供というのはありますけれども、一方でにぎわいを生み出すという目的もあることから、そのにぎわい空間については、ある一定程度の民間の自由な発想による提案というのが不可欠ではないかなというふうに思っています。そのやり方に当初からなかなかその辺の理解をするような説明ができなかったという市の反省があるかもしれませんが、PPP自体は、共通の理解のもと、大いに民間の力、あるいは知恵、工夫を大いに期待するという事業でございますので、そのような視点で検討を進めていくべきではないかなというふうに思っています。


○教育長(宮崎活志君)  まず、国が示した学習指導要領を忠実にしなくてもいいのではないか、そういう見識をということでございますが、学習指導要領には現在法的な位置づけが与えられておりまして、教育課程の基準となるということになっておりますので、これを無視するということはちょっとできないだろうと思います。

 それから2つ目で、市民科は教科書をつくるのかということでございますが、先ほど申し上げましたように、市民科というのは、今想定しているのは、いろいろな教科の中に、この武蔵野市を一つのテーマとした内容を各教科や特別活動、行事などの共通したものとして入れて、教科横断的なカリキュラムにするといういわゆるクロスカリキュラムなのですが、そういうことが想定されておりまして、ただ、まだこれから委員会が開かれますので、あくまでも私の今の持っている感触ですが、そうすると、教科書というよりは、教科横断的なカリキュラムとしての指導計画の細案というものをつくって、それを示していく。そして各教科での実施や各教科等での実施を行っていくという形になるのではないかと想定しておりまして、余り教科書のような形にはならないかなというふうに思いますが、ただ、何らかのテキストがないと、それはしにくいと思いますので、これまでつくってきた武蔵野市の子どもたちに向けた歴史の解説書などもありますので、そういったものなども活用しながら考えていくことになるなというふうには想定しております。

 

○12番(内山さとこ君)  まだまだたくさん申し上げたいことはあるのですが、やはり公民連携の手法については、慎重に考えていただかなくてはいけないと思っています。内閣府から出ている技術的な助言というものがネットでもとれましたけれども、ここに書いてあることは、はっきり言えば、今、文科省の四国の獣医大のことでいろいろ問題になっておりますけれども、行政の正しい公正な執行がゆがめられてしまいかねないという私は非常におそれを感じています。技術的な助言と言いながら、要請と書いてあったり、お願いいたしますを連発しているのです。これは明らかに法的に抵触しています。当時総務大臣だった片山さんが2011年3月に答弁しているあの有名な答弁がありますね。通知、通達に関する見解ですけれども。これは、今民間の手法を活用して自治体にやらせようとしていることは、国による公共の破壊に私は等しいと、このまま突き進んでは本当に危ないというふうに思っています。武蔵野がここできちんと立ちどまっていただいて、なぜ立ちどまるのかということを公に出していただくことが、ほかの自治体にとっても大変有効なことだと思っています。

 武蔵野は、例えば財政援助出資団体に指定管理制度をいち早く導入して管理運営をさせていますけれども、これは、市場原理に委ねずに市民の生活を重視して、これまでの従来の安定した行政の水準を確保したサービスをきちんと提供してきた、こういう歴史があるわけです。そういう武蔵野の歴史と、今政府がやろうとしている公民連携の手法、これが本当に一致していくのか、よくよく御担当で考えていただきたいというふうに思っています。