○議 長(与座 武君)  次に、自治とコミュニティ等について、12番内山さとこ君。

(12番 内山さとこ君 登壇)(拍手)

○12番(内山さとこ君)  それでは、一般質問をさせていただきます。

 私は、第五期長期計画策定の際、武蔵野の武蔵野たるゆえんは自治とコミュニティに尽きると言っても過言ではないと申し上げました。この自治とコミュニティについて、質問をさせていただきます。

 日本全体が高度経済成長期からバブル経済を経て、定常型社会へと移る中、私たちの暮らしは「量の充足」から「質の充実」へ、「市場価値」を競う消費から「生活の価値」をとうとぶ再生へと転換してきました。間もなく東日本大震災から4年目の春を迎えます。苛酷な震災と原発事故が私たちに授けたのは、競争と奪い合いから、共生と分かち合いの社会へ舵を切りかえよという箴言です。武蔵野市が目指すべきは、限られた政策資源を最大限活用し、豊かな人と人とのつながりを実感できる新たなコミュニティづくりにほかなりません。

 人口減少、超高齢社会にあって、国の社会保障改革プログラム法でも見られるように、負担と給付のバランスに終始する国の社会保障制度だけでは乗り切れないということは明らかです。唯々諾々と、「子育て・介護の社会化」の名のもとで、貧困や格差をもたらした規制緩和、市場原理に委ねる競争社会に逆戻りしてはなりません。社会学者の上野千鶴子さんの言葉をかりれば、自治体とは、「自ら治める体」と書きます。改めて、市民生活に最も身近な自治体が主体となり、地域特性を踏まえて社会資源を活用し、支え合いのコミュニティづくりを進めることが求められています。人と人との支え合いを紡ぐことは、市民が主体でなければなし得ません。「地域リハビリテーション」の理念でもある、誰もが住みなれた地域で自分らしく暮らし続けられるしくみづくり、これを市民生活全般にわたって、これからのコミュニティに展開していくことこそが武蔵野の自治の方向であり、新たなコミュニティの構想であると考えています。

 まず1点目の大きなテーマ、自治のまちづくりについてお尋ねします。

 私は、2012年の12月、「主権と人権について」の質問をしました。その際、ジャン・ジャック・ルソーの「主権は代表されない」という言葉の続きとして、「主権は代表され得ないが、それは主権を譲り渡すことができないのと同じ理由による。主権は本質的に一般意思の中に存する。意思というものは決して代表されない」と引用しました。ここでいう「一般意思」とは、貧富の差が広がり、不平等、不合理、悪徳がはびこる社会から脱却するためには、個人の立場や私的利益に依拠した「特殊意思」ではなく、また「特殊意思」を多数決で決定する「全体意思」でもなく、社会を構成する人民の合意で形成する共通の考えや利益、つまりは公共の利益を指しています。この「一般意思」をもって共同体を運営することこそ、市民との契約に基づく「市民政府」であると考えます。

 武蔵野が公式に自治基本条例の必要性に言及してから、もう10年が経過します。今後「市民政府」として自治体を運営していくに当たり、自治基本条例は、制定することが目的ではなく、公共の利益についてどのように合意形成を図っていくのかを明らかにし、それを市民が共有し、自治することが目的と考えています。そこで、以下4点について、お考えを伺います。1、自治基本条例の策定方法と骨格案について2、障害者福祉総合条例の必要性について3、子どもの人権と子育て支援総合条例の必要性について4点目に、人権、男女共同参画に関する条例の策定方法と拠点整備についてです。

 この中で、これまで障害者福祉の条例の必要性につきましては、私が会派に所属していた当時の代表質問や厚生委員会などでも提案してまいりました。また、子どもの人権を保障するしくみについても再三伺っていますが、特に子どもの権利条約批准20周年を迎えた昨年、また子ども・子育て新制度の本格実施を見据えて、その必要性を指摘したところです。また、さきの施政方針で、来年度いよいよ男女共同参画条例の策定に着手すると述べられています。改めて、武蔵野市では人権について、どこにどのように規定していくのかということを問いたいと考えています。

 5点目に、歴史と文化と景観の関係についてのお考えを伺います。自治のまちづくりの中でこの点を伺いますのは、極めて市民の主観によるところが大きい景観に関して、ガイドラインとして合意を図っていくには、まちの歴史、文化の成り立ちを公共の価値として共有することが最重要であるという認識からです。いまだ自治基本条例を持たない中で、その策定方法は、条例の内容を先取りするものにならざるを得ないと考えています。

 先月20日、都市計画審議会で、下田市の都市計画マスタープラン、景観計画、景観まちづくり条例について視察してまいりました。参考まで申し上げますと、下田市では都市計画マスタープランで、自動車道の地区別説明会とあわせ、6つの地域でのまちづくり会議を計49回重ね、延べにして1,269名の参加があったそうです。下田市が景観に取り組む背景としては、「下田を象徴する建物であった小学校を初め、多くの美しい建物が解体されてしまった、また、昔に比べて海や川が汚くなった、山の自然が荒れてきている」といった声が出ており、下田に携わる全ての人々が景観のことを考え、意義と保存、新たな魅力の創出に取り組むことが必要と考えたことにあります。

 2点目の大きなテーマ、コミュニティについて、お考えを3点伺います。

 1つ目に、吉祥寺文化とコミュニティの関係について。2年前に「吉祥寺が『いま一番住みたい街』になった理由」という本が出版され、話題となりました。読まれた方も多いと思います。この中で、現在の吉祥寺について、「中道通りのにぎわい、末広通りの新しいタイプの店が人気となっていること」また、「吉祥寺の商業の魅力、快適性の中心軸は、駅前地区ではなく周辺に移動してしまった。欲しいものは特にないと思えるほどの生活充足感を多くの人が既に抱く中、ここに訪れる人が求めているのは物との遭遇ではなく、まち歩きそのものの楽しさではないだろうか」と述べられています。そして、吉祥寺の魅力として9つのポイントを挙げています。1、立地、2、コンパクト性、3、バラエティー性、4、利便性の高い自然環境、これは井の頭公園のことを指しています。5、自分のまちとして感じられる、つまり生活者の共感、ヒューマンスケールのまちであるという意味です。6、生活のカジュアル性、7、サブカルチャーの魅力、8、多世代の支持によるまちの新陳代謝が行われている、9、住みたいまちナンバーワンであるという広報的な価値。

 特に吉祥寺文化という定義づけはされていませんが、私は、ここに述べられているような、他の繁華街と言われるまちにはない、文化があると感じています。それは、物品の売買を主眼とする商業的価値ではなく、精神的な安らぎ、憩い、自由を謳歌する文化的な価値だと思っています。そうした吉祥寺文化が、商業を含め、吉祥寺というコミュニティを牽引してきたと言ってもよく、今のセントラルエリアのナショナルショップ化は、その牽引力衰退そのものであります。これからの吉祥寺に必要なのは、いわば吉祥寺文化の復興であるのではないかと考えています。

 2点目に、福祉、防災の面から、学校区とコミュニティの関係についてお尋ねします。これからのコミュニティのあり方について、検討委員会の方針が出されました。仮称「地域フォーラム」の提言がされ、多様な主体による課題解決の協議の場として期待されています。この点について、福祉、防災、教育各分野では、コミュニティの課題についてどのようにお考えになっているでしょうか、伺います。

 3つ目に、公共サービスとコミュニティのサポートの連携、協働について伺います。冒頭に、地域リハビリテーションの理念、誰もが住みなれた地域で自分らしく暮らし続けられるしくみを市民生活全般にわたって展開する、これこそ武蔵野の目指すべき自治の方向であり、新たなコミュニティ構想であると申し上げました。ソフト面では、コミュニティにおける公共のサービスと、インフォーマルなサポートの役割を相互に認め合い、連携、充実していく。そしてその先に、ハード面での公共施設の再配置という大きな課題につながっていきます。市民との合意を図り、公共意思としていく、武蔵野のコミュニティの自治の力が改めて問われていると考えます。

 以上、壇上での一般質問といたします。

○市 長(邑上守正君)  それでは、内山さとこ議員の一般質問にお答えしてまいります。自治とコミュニティ等についてであります。

 まず大きく、自治のまちづくりについて幾つかお尋ねをいただきました。自治基本条例の策定方法、骨格案等についてということであります。私も、自治基本条例、これからの分権社会を考える上で、市としてのきちんとした自治のあり方は明確化していくべきだというふうに思っております。とりわけ国の枠組みだけではなくて、やはり武蔵野市が今まで培ってきた市民自治の歩みを、これを曲げることなく、確かな方法としてこれからも継続をしていく、充実していくためには、自治のルールを明確化していくことが必要だという思いから、自治基本条例の制定、これは目的ではございませんが、制定を目指すべきというふうに考えておるところでございます。

 第五期長期計画でも、市民自治を原則として市政を行っていくために必要な制度や手続等のルール化を進めることで、自治体運営に関するルールの体系化を構築し、本市が目指す自治のあり方を、市民、市議会、行政で共有していくことを掲げているところでございます。したがいまして、当然のことながら議会も市民も、皆様方の参加のもと、このルール化に向けての議論が不可欠だというふうに思っておりますので、この間市民啓発というのはいろいろ繰り返ししておりますけれども、広がりがまだまだ得られていないということもございますので、さらにさまざまな機会を捉えて広聴に努めていきたいというふうに思っております。

 今後市民意見の広聴を進めるに当たりまして、本市が目指す自治基本条例、これはなかなかわかりづらい状況もございますので、大きな枠組みというのですかね、たたき台とまで言えるかどうかわかりませんが、そのようなものを示しながら、市民の意見も聞いていきたいというふうに思っております。そのためにも、私ども執行機関と議会とを含めた市政全体で方向性を打ち出すべきだというふうに思っておりまして、議会にも意見交換の場を何回か設定させていただきますけれども、ぜひ改選後も、その場をお願いしたいというふうに思っています。今でもいいのですが、議会のほうでも選挙という節目があるということで、改めてというお話も聞いておりますので、ぜひ継続していただけたらというふうに思っております。

 次に、障害者福祉総合条例の必要性についてということですが、この間、障害者関連に関するさまざまな制度というのが、実にたくさん積み重ねられてきたのかなというふうに思っています。平成18年、障害者自立支援法の施行以降、22年には利用者負担の見直しもあった。23年8月には障害者基本法の改正もあった。25年には障害者総合支援法の施行、そして昨年には障害程度区分から障害者支援区分への見直しもあった。26年1月には障害者権利条約を批准できたということもあって、28年には障害者差別解消法の施行等も予定されているという状況でございます。

 市も直接的に、間接的に、さまざまなこの制度の改正を受けて、さまざまな対応をしていく予定となっておりますので、まずはこの制度を定着させていく。そして障害のある方が安心して暮らし続けられるような環境を整えること、これを重点的に考えていきたいというふうには思っておりますが、国の制度等が整備されてきたことについては評価いたしますけれども、それだけではいけないのだというのが武蔵野市の立場ではないかなというふうに思っています。それらを踏まえて、市としての考え方をぜひまとめていく必要があるのではないかなというふうに思っておりますので、今後、冒頭に答弁いたしましたけれども、この自治基本条例を制定するならば、個別法として障害者に対する総合的な条例の制定も大いに考えられるのではないかなというふうに思っておりますので、今後そのような視点で、地域自立支援協議会等での議論もあろうかと思っておりますけれども、それらの意見も踏まえながら検討をしていきたいというふうに思っています。

 次に、子どもの人権と子育て総合支援条例の必要性ということでありますが、本市の子どもプラン、間もなく策定をいたしますが、これは総合的な子どもに関する教育分野、健康、福祉、あるいは緑や環境と都市基盤の分野も含めた、総合的な子どもに関する施策事業を体系化したものでございます。それぞれの事業等につきましては、それぞれの分野での推進というのがありますが、これにつきましても、計画に対する総合的な支援の後押しの位置づけが、いまいち弱いのかなと。プラン自体の位置づけもさることながら、それを後押しする位置づけも弱いのかなというふうに私も認識してございますので、その意味では、これを後押しする総合的な子どもに関する条例というのもあり得るのではないかなというふうに思っております。したがいまして、今後子どもプランをもとにさまざまな事業を進めていくことになりますが、それらの事業を推進しながら、ぜひ総合的な事業の必要性についても検討を進めていけたらというふうに思っています。

 次に4点目で、人権、男女共同参画に関する条例の策定方法、拠点整備の考えということでございますが、男女共同参画基本条例、仮称でございますけれども、これは男女共同参画計画でも検討がうたわれていることでございますので、ぜひ各施策の根拠として設定を目指していきたいというふうに思っています。男女共同参画、これは男女平等と同意義でございますし、基本的人権の問題でもあるというふうに捉えております。条例制定に当たりましては、当然のことながら人権の課題としても位置づけをしていきたいというふうに思っています。

 拠点施設の整備につきましては、ヒューマン・ネットワークセンターを男女共同参画推進の拠点施設として、現状の施設にさらに相談機能などを加えた機能拡充を行っていけたらというふうに思っております。なお、条例制定の方法につきましては、有識者や関係団体代表から成る検討委員会の設置を秋ごろに想定して、準備を進めていきたい。当然のことながら、市民の多くの声を聞くという機会を設けていきたいというふうに考えているところでございます。

 次に5点目で、歴史と文化と景観の関係についてということでございますが、景観に関しても都市マスタープランの中に既に記述をさせていただいておりますけれども、市内に残された寺社、文化財、屋敷林、上水といった歴史的、文化的な景観資源、河川、緑などの自然的な景観資源を保全するとともに、その活用を図り、景観資源を生かした魅力ある景観形成を進めるというふうにしてあるとおり、本市の歴史や文化がまちの景観を形づくる重要な要素であり、これらの要素は密接不可分というふうに考えているところでございます。また、景観を形づくる要素は、これは単に目に見える形だけではないように捉えております。本市の今まで培われてきた市民参加によるさまざまなまちづくりの、そういう歴史、経験というものも、一つの景観につながっていく無形のものではないかなというふうに思いますし、まちの景観にも大きな影響を与えてきたものではないかなというふうに考えております。都市マスでも示しておりますけれども、本市では景観を姿、形態のみで捉えるのではなくて、長らく営まれてきた人々の生活や活動、人の五感、自然、空間を大切にした生活環境の総合指標と捉えているというふうに記載のとおり、今後もそのような趣旨で対応していきたいというふうに考えております。


 次に、大きなお尋ねの2点目で、コミュニティについてという大きな課題をいただきました。吉祥寺文化とコミュニティの関係についてということでございますが、吉祥寺の特徴的な文化を生み出す背景として、よく言われておりますけれども井の頭公園の水と緑、あるいは、場所で申しますとハモニカ横丁の闇市的な景観、あるいは寺社の荘厳さ、いろいろな多様な空間的要素が吉祥寺にはあるのではないかなというふうに思っています。また、例えばジャズ喫茶だとかライブハウスだとか、店とその中の活動、こういったことも吉祥寺文化と言われるものでございまして、これら個店の経営者のこだわりなどを持った店も多くありますし、そのような営業が話題となって、マスコミなどを通じて、あるいは口コミなどで広がっていき、次第に吉祥寺らしさを醸し出してきたのではないかなというふうに思っています。

 吉祥寺の商業者の皆様方も、商店街活動、商店街としての活動というのを大変重視されておられます。代々の商店会の皆様方が協力し合って、各商店街のイベントのみならず、総合的に吉祥寺のイベントをみんなで盛り上げていこうという、そんな歴史も積み重ねられてきたのではないかなというふうに思っております。そこに商店街の垣根を越えたコミュニティが、吉祥寺ならではの商店街の皆様方のコミュニティが育まれてきたのではないかなというふうに思っております。これもいわば吉祥寺らしさの一つではないかなというふうに思います。例えば吉祥寺音楽祭、ことしで30回目を迎えます。そして吉祥寺秋祭り、これが43回目というような、まさに伝統的なイベントになっているのではないかなというふうに思っておりますので、この長さからも言えることですけれども、これも代々のコミュニティ、世代間の、縦のコミュニティが実にうまくつながってきているのではないかなというふうに思っています。一方、演劇や美術やアニメなどといった、そういった吉祥寺文化と言えるものも要素としては多く挙げられるところでございます。吉祥寺シアターや美術館といった公的な施設と同時に、民間のギャラリーも実は大変多く存在しておるような状況もありますし、そのような資源も吉祥寺らしい文化を醸し出しているのではないかなと思います。

 ただし、なかなか時代の流れの中で、バウスシアターが閉館だとか、あるいはテナントがチェーン店化をしているような、個性的な店舗がだんだんと失われていっているという大きな課題も大変残念ではないかなというふうに思っています。まちの変化を私ども常に把握しながら、また吉祥寺では、とはいえ住みたいまちとして多大な評価をいただいているということもございます。しかし、その評価に負けないように、安全安心、利便性の向上、魅力の発信などに注力をしていく、力を注いでいくとともに、地元の取り組みも大いに支援をしていけたらというふうに思っています。地元と、それから行政、さまざまな関係者が、いわば一つのコミュニティになるかもしれませんけれども、そういうものを育んで、吉祥寺文化というものをより一層、継承、充実、発展していけたらというふうに考えております。

 次に、福祉、防災の面から、学校区とコミュニティの関係についてということで、私からは防災、福祉の面からということで、後ほど教育長から、学校から見たコミュニティの関係をお答えいただく予定となっております。

 まず、福祉面でのコミュニティ活動を、一定の区割りをもって行っているコミュニティとして、地域社協の存在があるわけでございます。13地域に分かれておりますけれども、これは学校区とは若干、微妙に異なる範囲となっております。地域福祉活動は地域住民の人のつながりを大切にしながら進められている面が強いことから、学校区と必ずしも、違った区割りとなるということは、ある程度尊重すべきではないかなというふうに思っております。しかし一方で、異なる区割りで行われる取り組みとの連携は、常に意識をしていく必要があろうかと思っています。例えば福祉分野では、高齢者施策の中では小地域完結型の相談サービス提供体制として、在宅介護支援センターの担当エリアをもとに、6圏域の区割りで施策を進めているところでございます。このような圏域も大変大切な、大きなコミュニティの一つではないかなというふうに思っています。また、現在取り組んでおります災害時要援護者対策事業では、迅速な情報提供、情報収集が必要な事業でございますが、これは小・中学校に都立高校を加えた20の区割りをして、事業を推進しているところでございます。

 現在既に各地域社協が、テーマごとに、それぞれの区割りに対応する形で連携をしているところでございますが、今後も異なる取り組み同士の連携のあり方の一つとして、学校区などの区割りをそろえていくことが望ましいのかどうか、今後も研究を続けていくべき課題だというふうに思っています。防災面からは、災害時における避難所が、先ほど申し上げましたけれども、20あるということでございますが、この区域は各避難所の受け入れ可能人数をもとに設定しておりますので、学校区とは違う範囲なのです。また、災害時地域支え合いステーションとなるコミュニティセンターは、これは19カ所ございますが、協議会は16でございますけれども、このコミセンも避難所の区域とは必ずしも一致していないということでございます。

 このように、コミュニティのベースとなる小学校区と防災上の区分けが異なることは、地域住民にとって、自主防災組織の設立など、共助の実行において課題となる場合もございますが、しかし、だからといってすぐに学校区とそろえるかというと、なかなか今までの経過もございますので、課題もあるのではないかなというふうに思いますので、現時点では、今までそれぞれの面で培われてきました福祉なり、あるいは防災なりのコミュニティをベースに、学校区とのどのような整合が可能かということをより一層研究していけたらというふうに考えているところでございます。

 最後に、公共サービスとコミュニティのサポートの連携、協働についてということでございますが、この4月から介護保険制度改正によりまして、要支援の方に対する予防給付の一部が、予防介護・日常生活支援総合事業、いわゆる新しい総合事業に移行され、これは市長の権限によるサービス提供となるところでございます。この新しい総合事業は、地域の実情に応じ、住民主体の取り組みを含めた多様な主体による柔軟な取り組みによりまして、効果的かつ効率的なサービスを提供することが求められているところでございます。そのために、高齢者福祉計画などでも、NPOや民間事業者、有償・無償のボランティアなどによる支援体制の構築や、これらの活動の担い手となることを通じた高齢者の生きがいと役割づくり、互助の推進のあり方について検討していくと、このように記載をしているところでございます。コミュニティ等との連携、協働の必要性を掲げているところでございます。

 公共サービスとコミュニティの連携、協働については、このような高齢者福祉分野に限らず、災害時要援護者対策事業、子育て支援における共助の取り組み、緑・環境分野やまちづくりにおける協働の取り組みなど、多岐にわたっているものというふうに考えております。長計に掲げる市民自治の原則を踏まえ、さまざまな機会を通じて市民とのコミュニケーションを深めて、市民、団体、行政が連携しながら、さまざまな取り組みを積み重ねていく必要があるというふうに考えています。今後も市民の力が十分に発揮できるような環境の整備も進めていきたいと、このように考えております。

 私からは以上でございます。

○教育長(宮崎活志君)  それでは、学校区とコミュニティとの関係につきまして、市長からの御答弁で十分かとも思いますが、私からは学校から見た地域コミュニティとの関連性について、少し述べさせていただきます。

 本市の学区制度は、学校、家庭、地域が一体となって子どもを見守り、育てていくことが大切であるとの観点から、居住地により就学する学校が決定されるという指定校制度を採用しております。また、ジャンボリー、それからどんど焼きなどの青少協の活動や、登下校時の見守りなど、主に小学校区を中心にさまざまな取り組みが学区の地域ごとに展開されております。青少協の活動は小学校区単位で行っておりまして、特に夏休み期間中に行われるジャンボリーには多くの児童が参加し、教職員も参加することで、学校と地域が一体となって子どもの健全な育成にかかわる事業として、高い評価を受けていると認識しております。また、市長の御答弁にもありましたが、各小・中学校は災害時の避難所にもなっており、地域住民が中心となって運営している避難所運営組織にも学校がかかわり、必要に応じて訓練などにも参加しているところでございます。

 地域社会は学校教育の大切なパートナーであり、今後とも地域との相互理解を深めるとともに、学校と地域が一体となって子どもたちの健全な育成を図っていくように努めたいと思っております。

 以上です。

○12番(内山さとこ君)  ありがとうございました。ちょっと順番に、何点か再質問させていただきたいと思います。

 まず、最初の自治基本条例についてですが、これまでも何度か御答弁いただいているわけですけれども、昨年ですか、総務委員会で北海道ニセコ町に参りまして、御承知のように、あちらはまちづくり条例を最初に策定したまちとして有名で、既に何回も改定を重ねてきている中で、当初はなかった議会にかかわることも、いわゆる議会基本条例的な部分も必要であるということで盛り込まれてきたりして、進化を遂げてきているわけなのです。その中で、お話を聞いていて改めて思ったのは、条例があって何か変わりましたかと質問した議員に、ふだんは、意識はしないものですと、それは日本国にあって日本国憲法を常に意識していないのと同じように、ニセコ町では、何かあったとき、何か議論が必要なときというときには、ニセコにはまちづくり条例があるではないかと、市民がいつもよりどころにする、それが条例の持つ意味なのだというふうなことをお答えになっていました。

 ぜひそういう意味から武蔵野でも、ニセコ町の規模と武蔵野の14万市民の規模とでは違いますけれども、そういった市民のよりどころとなるものとして、市民とともにつくっていきたいと思っておりますので、ぜひそこは市民がつくる、主体的につくるというルールにしていただけるような策定の経過を希望していますが、その点についてはいかがでしょうか。

 それと、障害者福祉条例や子どもの人権や支援条例については、個別法の制定も考えられる、またプランの位置づけで後押ししていくということもあり得るということで、非常に、大変希望を持つ答弁をいただきまして、今後に期待をつなげていきたいと思っています。先日の第五期長期計画・調整計画の策定委員会との全員協議会の場で、私が策定委員の方に、調整計画をつくるに当たって一番重視したことは何かというふうなことをお尋ねしたときに、まずは社会経済状況の変化や国の法制度の見直しというものは考慮しなければいけないということをおっしゃっていた。これは当然のことで、全ての計画にわたって言えることだと思うのですが、そうであるならば、市長が先ほど御答弁いただいたように、障害者の福祉施策につきましては、ここ数年の間に飛躍的な、といいますか、懸案の課題だったものが取り組まれてきた結果、昨年、国として条約を批准するということもできましたし、そこで、今回の調整計画で、ということは特に希望はしませんけれども、ぜひ検討は早目に進めていただきたいというふうに思います。

 また一方で、子どもの条例に関しても、この間子ども・子育て新制度が発足するということは、15年前に介護保険制度が発足したように、武蔵野市でも高齢者の福祉についてのきちんとした条例をつくりました。ぜひ子どもについてもそうした条例を制定して、策定していただくように、ぜひ関係者の御努力をお願いしたいと思います。特に、子どもプランにおきましてもそうですが、教育分野との連携というのが非常に重要です。

 また、子どもプランと学校教育計画と、それから障害者福祉計画と、高齢者福祉計画、これは介護保険計画も含んでですが、学校教育計画には特別支援教育の推進計画も含まれているということで、これが今同時に改定のスケジュールをたどっています。なかなか一致して改定が進むというのは難しいのですけれども、今そういう中にあって、ちょうど障害者福祉の計画を策定する中でも、子どもについての規定は、児童福祉の観点から子どもプランにももっと入れてほしいねと、子どもプランのほうではしっかりとその辺は受けとめて、障害児の書き込みも大変、今までにない書き込みになりましたし、さらに特別支援教育を推進する計画が学校教育計画とともに策定されるということは、やはり大きな前進だと思っていますので、今後に向けてさらに検討を進めていっていただきたいと思います。

 それから、男女共同参画の条例につきましては、市長からも基本的人権というお言葉もあり、人権の位置づけ、根拠としていくと、そうした各施策の根拠としていくというふうな御答弁をいただきましたので、ぜひ市民の皆さんとともに進めていただきたいというふうにお願いします。

 それで、次の景観と文化、歴史についてのお答えでも、大変、都市計画マスタープランにも詳しくその点については書かれていたこともあり、武蔵野でも今後市民の皆さんとともに、武蔵野の財産、共有できる価値というものを、しっかりと形にしていっていただきたいというふうに思います。壇上でお話しした下田市では、本当にいろいろお話をする中で、御紹介したいことはたくさんあるのですが、まち遺産というものをワークショップ形式で定められて、140を超えるまち遺産が今あると。それが多いところを5つのゾーニングとして設定して、そのゾーンの中でも、特に下田に昔からあるお祭りの際に、そのお祭りのみこしが最後に出てくる、最高潮に盛り上がるときの近辺にコンビニエンスストアが出店するということになったときに、このお祭りの風景の中にコンビニエンスストアの商業的な看板ですとかが大きく出ていたのでは、これは景観を損ねるのではないかということで、お願いに上がって、コンビニエンスストアのほうもそのあたりを配慮した色調、それから高さというものに変更したということを聞いて、大変、下田頑張っているなと、また、下田に携わる皆さんがまちを愛しているのだなということを実感してまいりました。武蔵野でも、そこはぜひ見習っていきたいというふうに思っていますので、御担当に詳しい資料がありますので、市長もぜひごらんになっていただきたいと思います。

 それから、2点目の大きな質問のコミュニティの件では、ぜひ、こう言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、商店街、商業関係を経由しなければ市の融資や支援ができない、そういう制度だけではなくて、つまり生活経済課だけの吉祥寺のまちづくり支援ということではなくて、もっと広く文化行政とか福祉とか、そういう広い意味での吉祥寺というコミュニティを、その文化をまた新陳代謝させていくという、そういう視点での政策、それから支援制度を考えていっていただきたいと思います。来年度、創業支援や若者の起業支援といったこともターゲットに入れた政策を実行するということを伺っていますけれども、さらにそこは拡充していっていただきたいと思います。

 市長がおっしゃったような、例えばバウスシアターが閉館になったということは、私もとても残念な思いです。昨年、ちょうど1年ほど前、大学時代のゼミの友人や教授とバウスシアターに、「小さいおうち」という映画を見に行きました。その数日後にバウスが閉館というニュースが入ってきて、本当にその後みんなで、あれがみんなで行く最後だったのかね、なんていう話をしましたし、また子どもの保護者の方々も、バウスは私の青春でしたという方もいらして、とても残念です。その跡地にまた新たな開発が今進められようとしているということも聞いていますけれども、この件については都市基盤のほうからの御答弁ではなかったのですけれども、開発公社が今後まちづくりに果たしていく役割というのはとても大きいと思いますし、ぜひ地権者の方の御理解、御協力をいただきながら、吉祥寺のコミュニティ、吉祥寺文化というものを、また盛り上げていっていただきたいというふうにお願いします。

 それから、その後の福祉、防災と学校、それから公共サービスとコミュニティのサポート連携、協働についてですが、さまざまな課題があることは以前から指摘されていて、それを行政の区割りで一律に線を引かない、これが武蔵野らしいやり方であったというふうに私も認識しています。ただ、災害時の場合だけではなくて、震災の話を持ち出すまでもありませんが、日常的な人と人とのつながり合いということを考えたときに、やはりこれで本当にいいのかということは一度議論する必要があるのではないかというふうに思います。例にとれば、西部地域で今大変人口がふえている、新住民の方もふえている、その他の地域でも、大きなマンションが開発されれば新しい住民の方が見える。そういう中で、集合住宅にお住まいの方を初めとする新たな市民の皆さんとともにコミュニティを形成していくというときに、必ずそこには議論が必要だと思っていますので、そこをぜひ今後御検討いただきたいと思います。

 市長がおっしゃっていたコミュニティに根差した、コミュニティベースドです。まさにそれが、何度も申し上げますが、コミュニティ・ベースド・リハビリテーション。国の地域包括ケアシステムという言葉がたくさん聞かれるようになって、何か、地域リハビリテーション、武蔵野が言ってきた大きな理念が、高齢者の福祉、介護保険制度の中にだけ矮小化されてしまうような、ちょっと危機感を持っています。もっと広く大きな地域リハビリテーションという理念であると思いますので、私は、高齢者のみならず、生まれたばかりの子どもたちも、女性も男性も、障害を持つ人も、全ての人が武蔵野で自分らしく生きられる、そういう社会のために新たなコミュニティの構想を一緒につくっていきたいというふうに思っています。

 質問はわずかでしたけれども、お答えいただければと思います。

○市 長(邑上守正君)  それでは、再質問に幾つかお答えしてまいります。

 自治基本条例、これは定めるのが、制定が目的ではございませんが、しかし、要は市民自治を確立していく、それをルール化していくということだというふうに思いますので、まさに市民が主体のまちをつくっていこうということですから、当然のことながら市民の皆様方に理解いただかなければいけないし、市民参加のもとにこの条例制定に向かうべきだというふうに思っておりますので、制定の仕方については大いに工夫をしていきたいというふうに思っています。

 障害者の総合条例、あるいは子どもの総合条例等についても、今後の注目すべきものだというふうに思っておりますが、特に、再質問の中でお尋ねいただきましたけれども、例えば特別支援教育なども、これは教育だけではなくて、福祉分野もともに連携をしなければいけない。これはまさに地域リハの理念そのものではないかなというふうに思っておりますので、このような分野もさらに連携を深めていく、地域リハの理念を実現化していくような取り組みの推進をしていけたらというふうに思っております。

 下田市の例も、ちょっと伺ってみたいなというふうに思いますので、要は、多分きめ細かな制度で、丸、バツをつけるのではなくて、粘り強いいろいろ、地元の方の要望を理解いただくということだというふうに思っています。したがいまして、例えば吉祥寺などでも、個店がぽっと来て、周りに気を使わずに、独自に営業されるのではなくて、やはり吉祥寺というまちはみんなでつくり上げてきたのだと、その環境をお使いになるのであれば、やはりみんなと連携をしていく必要があるのではないかということを、ぜひ御理解いただきたい。つまり、具体的には商店街の加盟だとか、その辺のことも大いに配慮いただくべきまちではないかなというふうには思います。

 コミュニティの問題、今コミュニティの問題もあわせて答えておりますけれども、商店会の組織というのは、まさにこのコミュニティの一つだなというふうに思っています。ただ、形態は、みずから商業を営むというよりか、ややもすればオーナー的な、形態の違いが出てきておりますけれども、しかしその中でもオーナーさんが考えていただかなければ、まちはどんどんいろいろな方向に行ってしまいますのでね、吉祥寺のよさということを大いに認識をいただいた上での取り組みを今後とも商店街に期待したいなというふうに思いますし、そして、市も基本的には商店街の活性化という視点で、東京都の補助事業なども活用しながら支援をしておりますけれども、もちろん創業支援という立場であれば、これは個々に対する支援につながっていくのかなというふうに思います。ただ、先ほども申し上げましたけれども、事業を展開される場所というのは、これは今まで地域の皆様方が連携して築き上げてきたという、そういう場所であるというふうに思いますので、そういうことだということを理解いただいて、地域との連携を配慮いただいたような形で創業していただくということも大いに必要ではないかなというふうに思っています。

 それから、災害時の、今、コミュニティということで防災組織もありますけれども、本来ならば、日常的なコミュニティが育まれていれば、そこに災害なり福祉なり、それが大いに期待できるというふうに思いますが、なかなか武蔵野市ではそうでもないということから非常に苦労をしているところでございますので、いわば災害時ならではの、災害時のコミュニティ、あるいは福祉のコミュニティ、それぞれを育んでいき、それをいかに連携していくかということを考えざるを得ないのかなというふうに思っておりますけれども、ただ、引き続き、単位はなるべく近いほうがいいのかなと、コミュニティ単位は近いほうがいいのかなというふうに思っていますので、今までの武蔵野市の取り組みを尊重しながら、さらにいいコミュニティがどう育まれるかということについては、大いにこれからも議論を深めていきたいというふうに思っています。

 以上でございます。